絵本・ぼくたちこどもだ

ダンプえんちょうやっつけた

ふるたたるひたばたせいいち

港や工場でたくさんの人が働いている、ひがしはまの町。この町のまん中にわらしこ保育園があります。体の大きな園長先生は、こどもたちからダンプえんちょうと呼ばれています。わらしこ保育園の年長クラスくじら組は全部で9人。くじら組でいちばん小さい子はさくらです。すぐ「こわいんだもーん」というので、みんなはさくらのことを弱虫だと思っています。
「ひがしはまの町中が、わらしこの運動場だよ」
神社の石段はすべりだい、じぞう山の太い木のつるは、ブランコです。
ある日、ダンプえんちょうとひなた山にやってきたくじら組の9人は、ほら穴をみつけて、海賊ごっこをはじめます。
さくらはお姫様の役になりますが、海賊からかくれているお姫様がつまらなくなり、今度は自分から海賊になります。さくらは海賊になりきって、こわかったチャンバラごっこが、できるようになります。海賊になったこどもたち9人は、正義の味方ダンプ丸に、宝物をかけていどみますが……。

『おしいれのぼうけん』につづく「絵本・ぼくたちこどもだ」シリーズ第2作。古田足日さん・田畑精一さんによる、集団のあそびの中で成長していく子供たちの姿を描いたロングセラー絵本。石巻市に実在した「わらしこ保育園」の実践をもとにした作品です。108ページの長編絵本です。お子様と読む時は、2、3回に分けて読んでも楽しめます。

  • SLA選定
  • 定価1,650円 (本体1,500円+税10%)
  • 初版:1978年4月20日
  • 判型:B5判/サイズ:26.6×19.1cm
  • 頁数:108頁
  • 3歳~
  • ISBN:978-4-494-00607-6
  • NDC:913

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この作品は石巻市にあるわらしこ保育園の実践をもとにしたものです。そもそもは、1972年の教研集会の幼年教育の分科会に、この報告が出ていて、そうした資料を担当編集者の酒井さんが集めてくれて、その一つにこれがあったのです。つまり「すべり台がない。子どもがすべり台のかわりにお宮の石段ですべる」という報告があったのです。

そこで、その園を訪ねることになるのですが、その実践報告のところに、子どもたちが海賊ごっこをやったということが出てきます。その報告では、攻めてきた海賊と守るほうの海賊とが仲よくなってしまう話になっていました。それを変えてこの物語のようにしていったわけです。だから実践そのものとは、ほとんど関係なく話の筋は発展してきます。その中でねらおうとしたのは「集団の中での成長」ということでした。

人間、ことに子どもが成長していくには、むしろ集団の中でないと、成長発達というものは難しいのじゃないかという、ぼくの考えがあります。一人が一人で発達していくということじゃなくて集団の中で発達していく、そういう考えが、ぼくの中にある。それのあらわれということになるかもしれません。それが、遊びというふうなものをとおして出てくるということが一つあります。

子どもの生活の中で一ばん大きな要素を占めるのは遊びなんじゃないか、さらにいえば、手足を動かす遊びといいましょうか、体を動かし、手を使うというふうに考えたほうがいいかもしれません。そうしたものを、この作品の中に出したかった。『おしいれのぼうけん』の場合は室内の話でした。ここでは、はっきり野外での遊びを描いていこう、と思いました。

『おしいれのぼうけん』をつくった後に、ぼくたちは、「子どもというものは汗をかくものだ」ということを再確認、あるいは再発見しました。こんどは、外の緑の中で汗をかく、それをやってみようじゃないか、ということになりました。

(1978年4月5日 於童心社/児童文学作家・古田足日 談 「母のひろば」S53・4・15号より抜粋して転載)

内容説明

港や工場でたくさんの人が働いている、ひがしはまの町。この町のまん中にわらしこ保育園があります。体の大きな園長先生は、こどもたちからダンプえんちょうと呼ばれています。わらしこ保育園の年長クラスくじら組は全部で9人。くじら組でいちばん小さい子はさくらです。すぐ「こわいんだもーん」というので、みんなはさくらのことを弱虫だと思っています。
「ひがしはまの町中が、わらしこの運動場だよ」
神社の石段はすべりだい、じぞう山の太い木のつるは、ブランコです。
ある日、ダンプえんちょうとひなた山にやってきたくじら組の9人は、ほら穴をみつけて、海賊ごっこをはじめます。
さくらはお姫様の役になりますが、海賊からかくれているお姫様がつまらなくなり、今度は自分から海賊になります。さくらは海賊になりきって、こわかったチャンバラごっこが、できるようになります。海賊になったこどもたち9人は、正義の味方ダンプ丸に、宝物をかけていどみますが……。

『おしいれのぼうけん』につづく「絵本・ぼくたちこどもだ」シリーズ第2作。古田足日さん・田畑精一さんによる、集団のあそびの中で成長していく子供たちの姿を描いたロングセラー絵本。石巻市に実在した「わらしこ保育園」の実践をもとにした作品です。108ページの長編絵本です。お子様と読む時は、2、3回に分けて読んでも楽しめます。

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