2021.05.21

<インタビュー> 『かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ』 作者・ねもとまゆみさん

今月、『かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!』『かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!』が、2冊同時刊行となりました。
むしのたまごシリーズ」の第一弾です。

物語の主人公は、子どもたちに人気のむしたち。
「むしって、こんなふうにくらしているんだ!」
「むしって、こんなことができるの?」
むしの物語には、おどろきがいっぱい!

今回は、『かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!』の作者、ねもとまゆみさんにお話をうかがいました。


(「むしのたまごシリーズ」作者・たけがみたえさんのインタビューはこちら)
(「むしのたまごシリーズ」監修者・須田研司さんのインタビューはこちら)





想像を広げて、生きたむしを感じる


――ねもとさんは自然解説員として、子どもたちと楽しむ自然あそびや自然体験活動に長年取り組んでいらっしゃいます。絵本の物語を書くのは初めてとうかがいましたが、大切にしたことはありますか?


普段、子どもたちとのワークショップで大切にしていることは、「むしと同じ目線になって見たり感じたりする」ということです。
「カブトムシは樹液に集まります」と、いきなり知識として伝えるのではなく、いっしょに木々の間を歩き、「カブトムシはなにが好きなのかな」「どんな木が好きなのかな」と、想像したり発見したりしながら、生きているむしを感じていきます。この絵本でも、そういうことを大切にしました。

主人公に愛着を持って物語に入り込んでいくと、目に見えていることだけでなく、いろいろなことへ想像が広がりますよね。それが絵本の魅力だと思います。
ですから、生態を言葉で説明していくのではなく、あくまでもぶんぶんちゃんの物語をドラマチックに描くことを心がけました。たけがみさんが描いてくださった生き生きとした絵を見れば、説明はなくても、「ぶんぶんちゃん、とんだけど、とまるのはへただな」とか、いろいろ感じてもらえるのではないかと思います。


――たけがみさんの絵からは、生きているむしのエネルギーを感じますね。


はい。大きくなっていくときの、ちょっとユーモラスな表情のぶんぶんちゃんと、最後にたまごをうんでいくときの力強いぶんぶんちゃん。画面全体からいろいろなことが伝わってきて、ことばと絵が一緒になったとき、感動しました。たけがみさんの絵は、感性をくすぐる絵だと思います。土のあったかさや葉っぱのにおいまで感じます。







「メスのカブトムシには、なぜ角がない?」
知っているようで知らないこと


――この絵本で、メスのカブトムシに角がないのは、土にもぐるときじゃまになるからだということをはじめて知りました。腐葉土にもぐり、大切な卵をうむためなんですね。


そうなんです。オスには角がある、メスには角がない、というのは知っていても、それはなぜなのかということは意外と知られていないと思います。それぞれのむしの特徴には、なにか意味があるんですね。むしのくらしを描き、たまごをうむまでを描くこのシリーズだからこそ、表面的な形や情報だけでなく、そういうことにまで思いをはせられる展開にできるのかな、と思いました。

――ほかにもカブトムシならではの特徴はありますか?


卵からかえって羽化するまで、カブトムシはとても長い期間、土の中で過ごします。普段はなかなか見られない場面を絵で見られるのも絵本ならではだと思って、成長を丁寧に描きました。季節のうつろいや時間の経過をどう表現したらいいか悩みましたが、羽化に向けてダイナミックに姿が変化していく様子を、ぜひ見ていただきたいです。

――この本を読んでくれる子どもたちへ、一言お願いします。


カブトムシといえば夏! というイメージが強いかもしれませんが、カブトムシはどの季節も、みなさんと一緒に成長しています。「寒い季節は土の中でどうしているんだろう」「春は腐葉土を食べているかな?」と、夏以外のカブトムシのことも、ぜひ想像してみてください。そうすると、夏に成虫のカブトムシに出会ったとき、もっともっとうれしくなるかもしれません。

――ありがとうございました。






プロフィール
ねもとまゆみ(根本真弓)
東京都生まれ。幼児教育を専門的に学ぶなかで、子どもと自然が出会う場作りに興味を持ち、「インタープリター」(自然解説員)として長年活動。自然公園や幼稚園・保育園などで自然あそびのワークショップなどを行っている。紙芝居に『だれのごちそう?』『あしあと だ~れ?』『とりのす みーつけた!』(童心社)がある。おくたま地域振興財団所属。
かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!

むしのたまごシリーズ

かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!

ねもとまゆみ 作/たけがみたえ 絵/須田研司 監修

暑い夏でもすずしい土の中で、ぶんぶんちゃんはうまれました。いっぱい食べて大きくなって、脱皮して、さなぎになる前に体をくねらせて自分のへやをつくって……
土の中でぶんぶんちゃんの姿が変わっていきます。ようやく成虫になり土の外に出たぶんぶんちゃんは、飛ぶのがちょっと苦手で、木のしるが大好き!
 やがてオスのつのつのとなかよくなったぶんぶんちゃんは、どんな卵をうむのかな? 

生態をふまえた、楽しいお話絵本。

  • 4・5歳~
  • 2021年5月10日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み
むしのたまごシリーズ

むしのたまごシリーズ

この絵本シリーズは、むしの一生を温かみのあるストーリーと迫力あふれる絵で描いています。「むしってこんなふうにくらしているんだ!」「むしってこんなことができるの?」絵本をみると、きっといろいろなおどろきや発見があると思います。主人公のむしたちがどんな生き物なのか、そのむしが生きていくためにはどんな自然が必要なのかを知り、興味や関心を持ってもらえたらうれしいです。
監修者・須田研司

巻末には、解説と、むしの卵、あかちゃん、成虫それぞれのほんとうの大きさの絵を掲載しています。

  • 3歳~
  • 初版
かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!

むしのたまごシリーズ

かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!

たけがみたえ 作・絵/須田研司 監修

でんでんちゃんはうまれたばかりでも、自分で食べ物を探します。暖かいうちにたくさん食べて、冬になると殻にとじこもって冬眠します。
そして3年たった春、体が大きくなって、殻のうずまきの数も増えました!
 しとしと雨が好きなでんでんちゃんはやわらかい体でどんな道も進みます。なめくじと似ているけれど、どこが違うかな?

 オスもメスもないカタツムリがどう卵をつくるかなど、楽しいお話の中で生態を知ることもできます。

  • 4・5歳~
  • 2021年5月10日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み