てんじつきさわるえほん

てんじつきさわるえほん いないいないばあ

松谷みよ子 ぶん/瀬川康男

1967年の刊行以来、多くの子どもたちの誕生を祝ってきた『いないいないばあ』。日本で一番読まれている絵本が、もっと多くの方に楽しんでもらえるように、「点字つきさわる絵本」になりました。
見て楽しむことのできる絵と文字の上に、透明樹脂インクで、触って楽しむことのできる絵(触図)と文字(点字)を、盛り上げ印刷しています。見える人と見えない人が、いっしょに楽しめる絵本です。


★見える人も、見えない人も一緒に!

・目の不自由なこどもたちに
点字を読める子は、点字の文を読みながら、絵を触って楽しんでください。まだ点字を読めない子には、大人が読んであげながら絵を触らせてください。

・目の不自由なお母さん、お父さんに
お子さんに絵を見せながら、点字の本文を読んであげてください。

・見える子どもや大人たちに
絵を触って見えない人の感じ方を体験してみてください。バリアフリーの社会を考えるきっかけにもなります。

  • 全国学校図書館協議会選定
  • 定価3,960円 (本体3,600円+税10%)
  • 初版:2021年1月20日
  • 判型:B5変型判/サイズ:21×18.6cm
  • 頁数:19頁
  • 0・1歳~
  • ISBN:978-4-494-00124-8
  • NDC:913

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内容説明

1967年の刊行以来、多くの子どもたちの誕生を祝ってきた『いないいないばあ』。日本で一番読まれている絵本が、もっと多くの方に楽しんでもらえるように、「点字つきさわる絵本」になりました。
見て楽しむことのできる絵と文字の上に、透明樹脂インクで、触って楽しむことのできる絵(触図)と文字(点字)を、盛り上げ印刷しています。見える人と見えない人が、いっしょに楽しめる絵本です。


★見える人も、見えない人も一緒に!

・目の不自由なこどもたちに
点字を読める子は、点字の文を読みながら、絵を触って楽しんでください。まだ点字を読めない子には、大人が読んであげながら絵を触らせてください。

・目の不自由なお母さん、お父さんに
お子さんに絵を見せながら、点字の本文を読んであげてください。

・見える子どもや大人たちに
絵を触って見えない人の感じ方を体験してみてください。バリアフリーの社会を考えるきっかけにもなります。

読者の声

読者さま

子どもの頃に私も大好きだったその絵本を今、息子と夫が一緒に楽しめていることがとても嬉しい(41歳・女性)

全盲の夫が生まれてくる息子に読むためにプレゼント購入しました。 生まれた子には視力がありますが、父子のコミニュケーションにとてもよいです。 松谷みよ子さんの、この絵本は私(母)が幼い頃から馴染み深く、くまちゃんが大好きでした。大人になってからも絵本をたくさん集めていますが、なかなか点字が付いているものが少なく、またどうしても点字付き絵本は墨字のものに比べて価格が3倍ほどと高価になってしまうのですが、それでも子どもの頃に私も大好きだったその絵本を今、息子と夫が一緒に楽しめていることがとても嬉しいです。
読者さま

願っていた時代が来た、と大変嬉しく思います(女性)

ボランティアで拡大写本を作っている者です。とても素晴らしいお仕事と拝見しました。願っていた時代が来た、と大変嬉しく思います。いつも利用している図書館に、購入リクエストを出そうとおもいます。

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「点字つきさわる絵本」を語るうえで、その普及の立役者となった岩田美津子さん(NPO法人「てんやく絵本ふれあい文庫」代表)に触れずには進めません。先天性の全盲である岩田さんは、子育ての中で絵本を読みたくて、「てんやく絵本」を作ることになります。「てんやく絵本」とは、市販の絵本に透明なシートで点字を貼り、さらに絵の形に切ったものを貼りつけ、触って絵と文章がわかるようにしたものです。岩田さんは我が子以外の子どもたちにも、これらの「てんやく絵本」を利用してほしいと考え、「ふれあい文庫」を始めます。1984年のことでした。その後、製作ボランティアグループは全国に広がっていきました。
 しかし、文庫の活動だけでは、見えない人にとって、決して十分な環境とはいえません。図書館や書店に並ぶ市販の「点字つきさわる絵本」が増えてほしいと、出版社に呼びかけて、2002年に「点字つき絵本の出版と普及を考える会」が発足します。会では、各出版社が協力し合い、本作りの技術的なことを共有しており、近年「点字つきさわる絵本」の出版が増えてきました。
 私が初めてこの会に参加したのは2015年のことでした。年に2回の勉強会を通して各社の先輩方からノウハウを学び、今年1月に『てんじつきさわるえほん いないいないばあ』を刊行することができました。
 本書では、文章は原書をそのまま点訳していますが、絵の輪郭や色の違いを凹凸で表現した「触図」は、印刷された絵と全く同じではありません。線と線が近かったり、あるいは細かすぎたりする表現は指先で形が読み取りにくいため、形を調整しているのです。原書の絵のイメージを崩さずに、見えない子にとってわかりやすいものにするため、特別支援学校や点字図書館などで、試作品を触ってもらい、改良を重ねていきました。
 その中で印象的だった出来事があります。10歳の全盲の女の子が触図を触っていると、登場する動物たちの尻尾の太さがそれぞれ違うことに気がついたのです。「尻尾」という概念こそ知っていた彼女ですが、ねこやきつねなどの動物ごとに尻尾の形に違う特徴があることは、新しい発見だったようです。『いないいないばあ』は、「赤ちゃん絵本」ですが、絵を触れるようにしたことで、10歳の子にも、新しい発見があったのです。目で見ているだけでは素通りしてしまっていたことに気がつけた、とても印象的な出来事でした。
 私自身は晴眼で、点字もすらすらと読むことができません。五十音表を横において、文字通りなぞるように編集や校正の作業を進めました。何度も点字や触図に触れながら、見えない人たちの見ている世界を想像しました。「見えない人」とひとくちに言っても、見た記憶の有無、どのように見えないのか、見えにくいのか、年齢などによっても「見え方」は様々でしょう。それら自分とは異なる体を持つ人たちの世界を想像することで、視覚に頼るあまり普段見逃していることにも気がつけます。表紙や本文の紙の厚さや手触り、におい、触図の感触(例えば、くまちゃんの鼻などの面で表現されている触図は、冷たくて気持ちよいのです)など、いつも以上に立体的に絵本を体感できたように感じています。
「点字つきさわる絵本」と聞くと、つい見えない人だけのものと考えがちですが、決してそうではありません。「さわって読む絵本」という新しいジャンルの絵本なのです。触ることによって、見るだけでは感じることができない想像が膨らむでしょうし、バリアフリー社会を考えるきっかけになるかもしれません。触図が元の絵と異なっているのには全て理由があるので、「なぜだろう」と考えてみるのも面白いでしょう。「さわる」ということは実に多くのことを感じさせてくれます。見えない子と、見える子が一緒に楽しめるこの絵本を、ぜひ手に取って触って読んでみてください。
童心社編集部 西尾 薫