2021.02.11

<連載 1/3>『てんじつきさわるえほん いないいないばあ』できました!

昨年日本の絵本ではじめて700万部を突破した、『いないいないばあ』。
1967年の刊行から半世紀以上、「人生で初めて出会う1冊」として読みつがれてきました。その『いないいないばあ』を、目の見えない方などもっと多くの方に楽しんでいただけることを願って、「点字つきさわる絵本」をつくりました。

みなさんは、「点字つきさわる絵本」を手にしたことがありますか?
てんじつきさわるえほん いないいないばあ』はどんな本なのか、どのように作られているのか、今回から3回の連載企画としてご紹介します。

「点字つきさわる絵本」は、通常の絵本と同じ印刷の上に、点字(文字)と触図(絵)が樹脂インクによる盛り上げ印刷で施されています。絵もさわることができる点が、大きな特徴です。
表紙を開いて、最初のにゃあにゃの見開きを見てみます。

「いない いない ばあ
にゃあにゃが ほらほら
いない いない………」

という原文と同じ文章の点字が中央に入っています。
その上には、

「りょうてで かおを かくしている
しろい おなかの くろい ねこ」

という絵の説明文が入っています。目の見えない人がイメージしやすいように、描かれているものやその状態、色の情報などを説明しています。
絵の部分は、にゃあにゃの顔やからだのアウトラインや前足、おなか、しっぽなどそれぞれのパーツが線やドットで表現されています。
今回、作品の製作にもご協力いただいた「てんやく絵本ふれあい文庫」代表の岩田美津子さんから、お言葉をいただきました。

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いないいないばあ』の発行部数が700万部を超えたということは、どれだけ多くの親子がこの絵本を楽しんできたことでしょう。見えない私は絵本無しで子どもや孫と幾度となくいないいないばあ遊びをしたものです。
その『いないいないばあ』に点字が付き、絵もさわれるかたちで新たに誕生したことを大変うれしく思っています。

さわれる絵は、見える子どもや大人にとっても指先から伝わる感覚から更に想像力が高まり、見るだけの絵本では得られなかった感動を味わうことができます。

いないいないをしている猫の横からはみだしているひげや、手の下から覗いている開いた口は何とも愛らしく、鼠の細い尻尾はかわいく、狐の太い尻尾は沢山の毛でびっしり覆われていそうなど、いろんなことを感じさせてくれます。のんちゃんの腕や猫や熊の掌のつるつる感はさわっていてとても気持ちがいいです。

てんやく絵本ふれあい文庫代表 岩田美津子
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◇見えない子どもたちに
――点字を読める子は文を読みながら、読めない子は大人が読んであげながら絵をさわってみてください。

◇見えないお母さん・お父さんに
――お子さんに絵を見せながら、点字の本文を読んであげてください。

◇見える子どもや大人たちに
――絵をさわって見えない人の感じ方を体験してみませんか。

見える人も、見えない人もいっしょに楽しめる絵本、「点字つきさわる絵本」。
次回は、「点字つきさわる絵本」の印刷について、ご紹介します。
(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え)





てんじつきさわるえほん いないいないばあ

てんじつきさわるえほん

てんじつきさわるえほん いないいないばあ

松谷みよ子 ぶん/瀬川康男

1967年の刊行以来、多くの子どもたちの誕生を祝ってきた『いないいないばあ』。日本で一番読まれている絵本が、もっと多くの方に楽しんでもらえるように、「点字つきさわる絵本」になりました。
見て楽しむことのできる絵と文字の上に、透明樹脂インクで、触って楽しむことのできる絵(触図)と文字(点字)を、盛り上げ印刷しています。見える人と見えない人が、いっしょに楽しめる絵本です。


★見える人も、見えない人も一緒に!

・目の不自由なこどもたちに
点字を読める子は、点字の文を読みながら、絵を触って楽しんでください。まだ点字を読めない子には、大人が読んであげながら絵を触らせてください。

・目の不自由なお母さん、お父さんに
お子さんに絵を見せながら、点字の本文を読んであげてください。

・見える子どもや大人たちに
絵を触って見えない人の感じ方を体験してみてください。バリアフリーの社会を考えるきっかけにもなります。

  • 0・1歳~
  • 2021年1月20日初版
  • 定価3,960円 (本体3,600円+税10%)
  • 立ち読み
いないいないばあ

松谷みよ子 あかちゃんの本

いないいないばあ

松谷みよ子 ぶん/瀬川康男

日本の絵本ではじめて! 累計700万部を突破
1967年の刊行から、半世紀あまり。
2020年には日本の絵本で初めて700万部を突破し、現在735万部を超えるロングセラー絵本となっています。(※1)
世代を超えて読みつがれる、「人生で初めて出会う一冊」です。
※1…株式会社トーハン発行「ミリオンぶっく 2023」調べ

あかちゃんに語りかける言葉
あかちゃんと目があう絵

「いないいないばあ にゃあにゃが ほらほら いないいない……」
『いないいないばあ』の文章は、作者の松谷みよ子さんが子育ての中でわが子に語りかけていた言葉がもとになっています。

画家の瀬川康男さんは、あかちゃんと向き合い試作を重ねました。
「ばあ」の場面の動物たちは、あかちゃんと目があうように描かれています。

あかちゃんと一緒に読むと、言葉と絵がひとつになり、臨場感をもっておひざの上のあかちゃんに伝わります。

  • 0・1歳~
  • 1967年4月15日初版
  • 定価770円 (本体700円+税10%)
  • 立ち読み