2019.11.14

<新刊 連載2/2>宮川ひろさん 最後のおくりもの『「へてか へねかめ」おふろでね』

児童文学作家、宮川ひろさんの最後の作品となった絵本、『「へてか へねかめ」おふろでね』。

本作の著者、児童文学作家の宮川ひろさんは、2018年12月29日に95歳で逝去されました。およそ半世紀の作家人生において、実に130を超える物語をのこしました。

作品の多くは、ふるさとの思い出、戦争体験、そして教員として過ごした学校や教室での日々を素材とし、それらをあたたかなまなざしでとらえ直したものです。『びゅんびゅんごまがまわったら』(童心社)では、小学校を舞台に校長先生と子どもたちの愉快なかけひきを、『しっぱいにかんぱい!』(童心社)では、落ち込む子どものありのままの気持ちや、まわりで見守る大人たちのあたたかさを描きました。

宮川さんが最後に書いたこの絵本も、さりげない日常の中で子どもたちを励まします。


宮川さんが残した原稿では、ページの展開も考えられていました。
それは、「へてか へねかめ……」のとなえ言葉が6つの見開きにわたって描かれる、絵本としては大胆なものでした(※)。

絵を手がけたのは、わらべうたをテーマにした絵本も数多く描いてきた、ましませつこさん。ましまさんは、音から広がる自由なイメージの世界を、斬新な色や動きで表現しました。紙を染めるようにして背景を塗ったという絵には、和紙のようなあたたかみのある手ざわりがあります。

のびのびとイメージが広がる絵とあいまって、「へてか へねかめ」の言葉の楽しさが画面から伝わってきます。

1日の終わりにほっと安心し、明日が楽しみになる1冊です。

※場面を絵にする中で、宮川ひろさんの原稿からページ割りが変わったところもあります。
(宮川ひろ・作 ましませつこ・絵)

「へてか へねかめ」おふろでね

童心社のおはなしえほん

「へてか へねかめ」おふろでね

宮川ひろ 作/ましませつこ

1日の終わり、そうたは家族にその日のできごとを話しながら夕ご飯を食べ、大好きなじいちゃんとおふろに入ります。最後は、じいちゃんも、じいちゃんのお母さんも、みんなこどもの頃おふろで唱えた言葉「へてか へねかめ」。
「へてか へねかめ かめかめ かめか/かめの おのたま おちょりこ ちょりこ/すっぽんかいの てきてきとんぼ こうとんぼ/はりまの べっとう ちょうざえもん」3回唱えたら、体がぽっかぽか!

  • 3歳~
  • 2019年10月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み
新装版 天使のいる教室

新装版 天使のシリーズ

新装版 天使のいる教室

宮川ひろ 作/ましませつこ

小児ガンのあきこちゃんは笑顔をたやさない天使のような子。先生とクラスメートは奇跡を願って…。じつわにもとづいた感動の名作。

  • 小学3・4年~
  • 2012年3月15日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
しっぱいに かんぱい!

かんぱい!シリーズ

しっぱいに かんぱい!

宮川ひろ 作/小泉るみ子

人に言えない失敗は、だれにでもあります。達也のおねえちゃんは、小学校のリレーで、失敗をしてしまいます。朝ごはんも食べられないくらいおちこむおねえちゃん。そんなとき、おじいちゃんから電話がかかってきて…。

  • 小学1・2年~
  • 2008年9月15日初版
  • 定価1,320円 (本体1,200円+税10%)
  • 立ち読み
さくら子のたんじょう日

絵本・こどものひろば

さくら子のたんじょう日

宮川ひろ 文/こみねゆら

さくら子の名前は、山の桜の木からもらったと母さんはいいました。11歳の誕生日ちかいある日、叔母さんのお墓参りにいくと…。

  • 小学3・4年~
  • 2004年10月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 在庫品切・重版未定
びゅんびゅんごまがまわったら

絵本・ちいさななかまたち

びゅんびゅんごまがまわったら

宮川ひろ 作/林明子

こうすけたちと、あまのじゃくな校長先生とのびゅんびゅんごま合戦の結果……。

  • 3歳~
  • 1982年7月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み