しっぺいたろう

書評
- 母のひろば652号 「白羽の矢」から娘を救うのは? 2018年10月15日
- 日本では、「人柱」や「人身御供」といった、うそのような本当の話が各地に伝わっています。天災や水難から村や人間を守る「お祓い」のため、誰かをいけにえとして、生き埋めにしたり、捧げたりするという話です。
ある家の屋根に、1本の「白羽の矢」がつきささった場面からこの『しっぺいたろう』は始まります。画家の田島征三さん独特の深緑をした屋根にささった白い矢に、観客の目は集中します。この村では、祭りのたびに「白羽の矢」が立てられた家の娘を神にささげなければならないのです。
通りがかった坊さんはその話を聞き、神の正体がヒヒという猿の化け物だと見抜きます。そして、化け物が一番怖がっているという「しっぺいたろう」を、何日もかけて探し出し、祭りの晩に両者を遭遇させます。「しっぺいたろう」は実は犬だったのです。血みどろの闘いのあと、勇ましく立っていたのは、しっぺいたろう。迫力ある絵に圧倒されます。助けられた村人たちは、しっぺいたろうのお堂を建てて、今でも大切に拝んでいるそう。
脚本の津田真一氏の解説によると、人身御供の風習に苦しむ村を勇敢な犬が救うお話はほかに、「早太郎」や「猿神退治」などの名で日本各地に残されているとのことです。ここ宮川(伊勢市)でも、かつて川の災害から村を守るためお坊さんが人柱となったそうで、今でも堤防に碑が建っています。 - 橋村孝子(はしむら たかこ/紙芝居ピッポの会事務局)
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2022/5/16
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2022/5/11
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2019/11/21
田島征三さんが「巖谷小波文芸賞」を受賞しました!
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