ぼくのこえがきこえますか

戦場で砲弾にふきとばされたぼくの体はとびちり、足も顔もなくなりました。でも、ぼくの心は弟の怒りを見、母さんの悲しみを見ます。憎悪と復讐がどれだけむなしいものか。「だれのためにころし、だれのためにころされるの?」戦争を起こそうとする黒い影が見えますか?
- 定価1,815円 (本体1,650円+税10%)
- 初版:2012年6月20日
- 判型:B5変型ワイド判/サイズ:25.1×25.6cm
- 小学1・2年~
- ISBN:978-4-494-01967-0
- NDC:913
推薦のことば
- 絵が語る、文が問いかける。 あなたは今日、平和を考えたか? と 2012年6月20日
- ……「くにのために たたかえ」と みんなに はげまされて、ぼくは せんそうに いった。かあさんだけが ないていた……。
平易で、選び抜かれた深いことばのひとつひとつが、頁からくっきりと立ち上がる。
そして、「ぼくの からだは とびちった」。けれど、「ぼくの こころが なにかを み、なにかを きき、なにかを かんじはじめている」。
だから、遠い故郷でかあさんが泣いているのがわかる。弟が「にいさんの かたきを うってやる」と怒っているのもわかる。弟よ、ここに来てはいけない。かあさんをひとり残して。それでも兄を戦争に奪われた弟は……。
悲しみ、喪失、行き場のない憤り、憎しみ、そして……。戦争が引き出す、ひとのあらゆる「感情」と「感覚」を、田島征三さんは、この一冊の、ひとつひとつの「絵」に込め、描き尽くすことに成功した。「ゆきばもなく どろどろと うずまく いかり」を、敵も味方もなく、「たましいに なって のぼってくる」奪われたいのちを。癒えることのない悲しみを。
この地上から、あらゆる戦争が、いのちを脅かすすべてのモノやコトがなくなることを祈るだけではなく、わたしたちの絶え間ない意志の力でなくしていくのだ、と。 - 落合 恵子(おちあい けいこ/作家・子どもの本の専門店クレヨンハウス主宰)
書評
- 朝日小学生新聞 2018年5月27日
- ドキドキ書店コーナー
- 朝日小学生新聞・ドキドキ書店コーナー 2018年5月27日
- しんぶん赤旗 2012年9月22日 子どもの本
- 柳川あずさ(安曇野ちひろ美術館)
- 朝日小学生新聞 2012年8月18日
- 田島征三先生に子ども書評委員がインタビュー
- 毎日新聞 MAINICHI RT 2012年7月18日
- この本のために50年間歩いてきた
- 教育家庭新聞 2012年7月16日
- 戦争の悲惨さと人の心描く
- 毎日新聞 2012年6月27日 親子の読書 おはなしめぐり
- 50年かけて描く戦争と平和
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2020/2/21
<長野>3/1(日)より「田島征三展『ふきまんぶく』―それから、そして、今―」が開催されます!
3月1日(日)より安曇野ちひろ美術館にて「田島征三展『ふきまんぶく』―それから、そして、今―」が開催されます。「日・中・韓 平和絵本」シリーズの中の作品『ぼくのこえがきこえますか』の原画も展示される予 ...
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2019/11/21
田島征三さんが「巖谷小波文芸賞」を受賞しました!
再話者、翻訳者、読物作家、絵本作家、劇作家、編集者など多角的に活躍し、先駆的な役割を果たした巖谷小波の業績を記念し制定された「巖谷小波文芸賞」。第42回となる今年、「日・中・韓 平和絵本」などを通じて ...
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2018/2/16
『ぼくのこえがきこえますか』が、国際アンデルセン賞国際審査員が選ぶ15冊に選ばれました!
2018年国際アンデルセン賞国際審査員が世界中の子どもたちに読んでほしい、翻訳を期待する15冊に、日本の作品では唯一『ぼくのこえがきこえますか』(田島征三・さく)が選ばれました。国際アンデルセン賞とは ...