童心社のおはなしえほん

ちこくのりゆう

ちこくのりゆう

立ち読み

森くま堂 作/北村 裕花

先生、きいてえな。朝おきたら、とうちゃんとかあちゃんがカブトムシにかわっとったんや。だけど時計を見たら学校がはじまる時間やったから、いってきますと、ぼくはうちをとびだしてん。ところが、ノラネコのタイショーに声をかけられて、そのとたん……
ちこくのりゆうを先生に説明する体ではじまる物語は、ページをめくるたび度肝をぬかれる抱腹絶倒の展開をしていきます。
第9回絵本テキスト大賞受賞のナンセンス絵本です!

  • 第9回絵本テキスト大賞・大賞受賞作
  • 全国学校図書館協議会選定
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 初版:2021年1月20日
  • 判型:B5変型判/サイズ:20.7×22.2cm
  • 頁数:36頁
  • 小学1・2年~
  • ISBN:978-4-494-01637-2
  • NDC:913

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読者の声

読者さま

読書感想文を書くために購入しました。(44歳)

そんなことあるわけない!を堂々と先生に言えてしまうマサシの勇気と想像力におどろき、楽しませてもらいました。その後の先生の言葉を気にしていました。
読者さま

何かを元に戻したいときはお湯につけたらいいんじゃない?という様になりました。(40歳・女性)

お父さん、お母さんがカブトムシになっちゃうというのが、とてもおもしろかったそうです。お湯につけて元通りというのも印象的だったようで、何かを元に戻したいときはお湯につけたらいいんじゃない?という様になりました。
読者さま

大賞受賞、納得です。(女性)

表紙を見て、だいたいの内容は想像できたのですが、読んでみてそれをはるかに超える面白さでした。まず、こなれた関西弁が実にリズミカル。まるで落語のような言葉の世界。ハラハラドキドキなのに、まあるくおさまるのもすてきです。先生がこの後、どう対応したのか気になります!大賞受賞、納得です。
読者さま

絵の表現が表情豊かで好きです。(40歳・女性)

おとうさんとおかあさんがカブトムシになっている点がとてもユーモアがあっておもしろかった。もとに戻るところもお湯で戻るのがおもしろかったです。
絵の表現が表情豊かで好きです。

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書評

森くま堂さんの 『ちこくのりゆう』 が開示する幻想力

本書の版元の童心社のサイトの紹介にはこんな文章が掲載されている。

『ちこくのりゆう』森くま堂 作/北村 裕花 絵
《先生、きいてえな。朝おきたら、とうちゃんとかあちゃんがカブトムシにかわっとったんや。だけど時計を見たら学校がはじまる時間やったから、いってきますと、ぼくはうちをとびだしてん。ところが、ノラネコのタイショーに声をかけられて、そのとたん……ちこくのりゆうを先生に説明する体ではじまる物語は、ページをめくるたび度肝をぬかれる抱腹絶倒の展開をしていきます。
 第9回絵本テキスト大賞受賞のナンセンス絵本です!》

 カフカの『変身』ではなぜ主人公が毒虫に変わったのかという理由は最後まで説明されないが、子供向けの絵本である『ちこくのりゆう』では、もちろんそんな物騒な事は無い。
 小学生の男子が先生に遅刻の理由を説明し、最後は、こんなに大変だったのだから怒ったらあかんのよ、と訴えることで物語が閉じられる。
 わかりやすく、起承転結で構造分析するならば、以下のようになると思う。

「起」 小学生の男の子が目をさますと、両親がカブトムシになっている。物語の冒頭の欠落はお父さんとお母さんであり、日常生活そのものだ。
 だがこの少年は
「ふたりともくいいじがはってるし、なんやへんなもんでもたべて、こないなことになったんやろうか」
 と考える。
 つまり動じない。
 もちろんこれは少年が先生に遅刻の言い訳として話すストーリーなので、彼は冷静でいられるわけだが、この冷静さのトーンがこの作品を魅力的にしている。

「承」 ネコのタイショーとの出会い。そして少年とネコの入れ替わりが発生する。つまり少年がネコになり塀の上から「ぼく」に変身したタイショーを見下ろしている。ここで少年は相変わらず「がっこうにいかんでも、ようなった」とノーテンキなことを考える。

「転」 ネコになった少年がボスネコのキングと出会い、機転をきかせて逃げようとするも失敗、電信柱の上から地面に落下して人間に戻り、カブトムシになった両親を救出するために帰宅する。
 この「転」のパートには「子供の幻想力」が遺憾なく発揮されている。そして物語全体の秘密が開示されているパートでもある。

「結」 この物語の全体が、遅刻した小学生の男子がその理由を先生に語って聞かせる──という結末が示される。秀逸なのは、そんな具合にメッチャたいへんだったのにちゃんと学校に来たのだ、「そやさかい、ぼくがちこくしたこと、そないにおこったらあかんのんよ。なあ、せんせい!」という甘ったれた少年の語りである。

 たとえば10歳の少年の幻想力が、すべての物語を成立させる原動力となる。
 小説とは幻想の結果なのであり、すなわち夢見る力が小説を書く原動力になるのだ。
 そして森くま堂さんの『ちこくのりゆう』では、結末の少年の語りが、少年と教師の、さらに少年と両親との愛情に満ちた強い絆を表現しているのである。
 絵本なのでテキストの分量はそんなに多くないが、その短い文章でこれだけ暖かい世界を表現することが可能なのが児童文学なのだろう。


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