書評

願ったり、かなったり　母のひろば691号（2021年12月15日発行）

　子どもの頃、かなえたい願いがある時にはどうしましたか。
　夏だったら七夕様の短冊に書けます。冬だったらサンタクロースに注文できます。受験の時は神社の絵馬かな。あとはちょっと大変ですが、流れ星を探すしかありません。
　でもこの本に登場する子どもたちはラッキー！　願いをかなえる商品が自動はんばいきで買えるんです。しかもはんばいきの方から飛んでくるんですから。
　ただしほんとうに願いがかなうかは、その子の使い方しだい。とんでもない目にあった子もいるので、注意してください。
　収録の３話「ジャンケン必勝てぶくろ」「社長さんセット」「アニマルキャップ」で、子どもたちの心に秘めた願いがかなったのか、ぜひ読んでみてください。
　ぼくはショートショート出身なので、予想のつかない展開、巧妙な伏線、印象的な結末が持ち味。大人読者も存分に面白く読めますので、親子で楽しんでもらえたら、とても嬉しいです。
　第２巻『算数すきすきメガネ』は2022年3月刊行です。お楽しみに！
　待ちきれない方は、星新一ショートショート・コンテスト最優秀作も収録した拙著『白のショートショート ふられ薬』（講談社）をどうぞ。

山口タオ／作家