2023.02.28

<連載②>すてきな1日がはじまる『14ひきのあさごはん』

40周年をむかえる「14ひきのシリーズ」から、1作ずつご紹介する連載企画、第2回です。

今回ご紹介するのは、1983年に『14ひきのひっこし』と同時に刊行された『14ひきのあさごはん』です。

14ひきの物語は『14ひきのひっこし』からはじまりますが、実は先に絵を描いたのは、この『14ひきのあさごはん』なのだそうです。

その中でも1番最初にいわむらかずおさんが描いたのが、子どもたちが春の雑木林をいくこの場面。


あっ、かぶとむしたち あさごはん たべてる。
はちも、かまきりも、てんとうむしも いるよ。


かごにゆられてうれしそうなくんちゃん。
木にとまっているくわがたやてんとうむしを発見した、ごうくん、ろっくん。
ころんでしまったなっちゃんを心配そうに見る、にっくん。

いわむらさんは、「14ひきのシリーズ」をはじめるにあたり、10ぴきの子どもたちの個性を描き分けられるかどうかがポイントになる、と考えていました。
10ぴきの子どもたちは、身近に誰かをモデルにしたわけではなく、いっくん、にっくんなどひとりひとりが自分の中に確かに存在していたのだ、といわむらさんは言います。
この絵を描いてみて、14ひきの物語が絵本にできる、と確信したのだそうです。

1ぴき1ぴきが大切に描かれているからこそ、読者である子どもたちは、子どもたちそれぞれを大切な友だちのように感じたり、自分自身を重ねたりすることができるのでしょう。


どんぐりパンにきのこのスープ、そしてつみたてののいちご。自然の恵みいっぱいの朝ごはんが並んだ食卓からも、よっちゃんのおしゃべりやなっちゃんとごうくんのけんかする声など、にぎやかな音が聞こえてくるようです。

次回はどの「14ひき」でしょうか?
どうぞお楽しみに!

(いわむらかずお・さく)
14ひきのあさごはん

14ひきのシリーズはじめての「14ひきのシリーズ」(全2巻)

14ひきのあさごはん

いわむらかずお さく

もりのあさ。
はやおき いちばんは おじいさん。
おかあさんがおきて、おばあさんがおきて、こどもたちもめを さます。
おねぼうさんは だれ?

顔をあらったら、みんなで朝ごはんの準備です。まきわりはお父さん。お母さんとおばあちゃん、さっちゃんとよっちゃんは、どんぐりのこなでパンづくり。他の子どもたちは野いちごつみにでかけます。
やきたてのどんぐりパンに、ジャムとジュース。おいしいきのこのスープができたら、テーブルを囲んで、みんなでいただきます。

『14ひきのひっこし』と同時に刊行された、人気ロングセラー絵本「14ひきのシリーズ」の最初の1冊。
すがすがしい森の朝を舞台に、14ひきたちの1日のはじまりを描いた、累計部数100万部をこえる人気のロングセラー絵本です。

  • 3歳~
  • 1983年7月10日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み