単行本図書

命のうた ~ぼくは路上で生きた 十歳の戦争孤児~

命のうた ~ぼくは路上で生きた  十歳の戦争孤児~

立ち読み

竹内 早希子 著/石井 勉

第二次世界大戦後、日本全国に12万人以上いた戦争孤児たちの声が、あなたには届いただろうか。なぜ、どうして彼らは野良犬と呼ばれ、つらく悲しい体験をしなければならなかったのか。渾身のノンフィクション。

  • 定価1,540円 (本体1,400円+税)
  • 初版:2020年7月3日
  • 判型:四六判
  • 頁数:227頁
  • 小学5・6年~
  • ISBN:978-4-494-02067-6
  • NDC:916

感想を書く

推薦のことば

『命のうた』~十歳の戦争孤児と、母たちと、わたし
(母のひろば674号) 2020年7月15日
 元・戦争孤児の山田清一郎さん(本書の中の“セイちゃん”)に取材を始めたのは、2016年の梅雨どきだった。
 初めて「戦争孤児」、そして山田さんのことを知ったのは、2015年7月、朝日新聞の記事だった。戦争孤児の存在と、その過酷な体験に衝撃を受け、涙が止まらなかった。東日本大震災の震災孤児や、長男が当時の戦争孤児(10歳前後が多い)の年齢と近かったことで、シンクロした部分があったのかもしれない。
 「後世に語り継ぐべきだ」と直感的に思ったが、自分の手に負えるテーマではないと思った。自分は(両親でさえも)戦後生まれであるし、長男を筆頭とした3児の母という事情もあって、冷静に向き合える自信がなかった。そのまま胸にしまって時が流れた。
 1年ほど経ったある明け方、ふと胸騒ぎで目がさめた。「やっぱり書かなくちゃいけない」。日付を見ると6月5日、山田さんが神戸大空襲に遭い、戦争孤児になった日だった。何かが呼んだのか、いや、やはり意識のどこかから消せずにいたのだろう。
 すぐ企画書をまとめ、「児童ノンフィクション研究会(作家と編集者が定期的に集まる勉強会)」でメンバーに相談した。そこで「私たちは、戦争体験を直接聞ける最後の世代になる」という事実に気づかされ、突き動かされるように山田さんに連絡を取り、取材に行った。
 以来、山田さんとの交流は4年になる。取材は、対面以外に電話とメール。メールのやりとりは180通になった。
 神戸や長野県松代町、東京の町……山田さんが歩いた道をたどり、当時の痕跡や資料を探し、あちこちに問い合わせた。「本当の飢え」がわからないので、絶食して山田さんに止められたこともあった。
 「なぜ、なにが、あなたをそこまで動かすんですか?」
 これまで何度か、山田さんから同じ質問を受けた。その問いに、今もうまく答えられない。ただ、ずっと根底に「なかったことにしてはいけない」、「2度と繰り返してはならない」という母親としての怒りがあったように思う。それは、我が子をひとり残して世を去らねばならなかった山田さんの母、いや、すべての戦争孤児の母たちの怒りでもある。
 出版が未確定だった時期、支えになったのは、初稿を読んだ長男の感想だった。「浮浪児のこと、知らなかった。あと戦争が起きたらどうなるか分かる。あと、(読んだ人は)生きなきゃって思うかもね。なんかイヤなこととかあって、死にたいとか思ってる人も、死んじゃダメだって思うかも」
 過酷な環境下でも人間らしい心を失わずに生きのびた山田さん(セイちゃん)に、何度でも伝えたい。
 あの子たちのことを伝えてくださったこと、今日まで生き抜いてくださったことに、心からの尊敬とありがとうを。
竹内早希子/ノンフィクション作家

2020/7/20

〈新刊図書〉戦争で親を失った子どもたちの思いを伝える『命のうた ~ぼくは路上で生きた 十歳の戦争孤児~』

今月刊行されたノンフィクション児童文学『命のうた ~ぼくは路上で生きた 十歳の戦争孤児~』をご紹介します。1945年2月の神戸市。小学3年生の清一郎の家は、とうちゃん、かあちゃん、清一郎の3人家族です ...

続きを読む