単行本図書

命のうた ~ぼくは路上で生きた 十歳の戦争孤児~

命のうた ~ぼくは路上で生きた  十歳の戦争孤児~

立ち読み

竹内 早希子 著/石井 勉

10歳のときに神戸空襲で親をなくした山田清一郎さんの半生を中心に、一緒に路上で生きた戦争孤児の仲間たちの声なき声をすくい上げる、渾身のノンフィクション。第二次世界大戦後、日本全国に12万人以上いた戦争孤児たちの声が、あなたには届いただろうか。どうして彼らは野良犬と呼ばれ、つらく悲しい体験をしなければならなかったのか。なぜ、大人たちは助けてくれなかったのか。戦後75年目に問う作品。

  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 初版:2020年7月3日
  • 判型:四六判
  • 頁数:227頁
  • 小学5・6年~
  • ISBN:978-4-494-02067-6
  • NDC:916

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読者の声

若い人に是非、読んでほしい本です
友人から送って貰いました。友人の夫は『命のうた』の主人公同様、戦争孤児です。東京大空襲で両親を失い、ひとり生き残りつらい経験を乗り越えて、市会議員になり活躍された方です。今も、反戦、平和の活動に携わっています。一気に読み、声を上げて泣きました。
娘(50歳)にも読んでもらいました。深い感銘を受けました。特に、あとがきのホームレスの方の言葉が強く胸に突き刺さりました。若い人に是非、読んでほしい本です。(76歳・女性)
やはり戦争はいけないのだと、改めて考える機会となりました。
10才の息子を持つ母親で、せいちゃんを息子と置き換えると胸が苦しくなりました。やはり戦争はいけないのだと、改めて考える機会となりました。
すごく読みやすく10才の息子もワンワン泣きながら、2時間もかからず読み上げ「胸にひびいた」と感想を言い、家族で家族のいることのありがたさや、世の中にはいろいろな背景を持つ人がいることなど、少し深い話をするきっかけにもなりました。
8月の宮崎日日新聞で本の記事をみて、購入しました。ぜひ、いろんな方に読んでいただきたいです。(44歳・女性)
母と真っ赤な空の下を逃げたことがある
私は1940年生まれなので、戦争では母と真っ赤な空の下を逃げたことがある。食料には困っていた。 とよく思い出すが、孤児にならないですんだので何とか今がある。有難いことと思っている。(80歳・女性)
泣きながら読みました
 図書館でふと手にし、借りて読み出したら止まらなくなり泣きながら読みました。一気に読んで、何度かページを読み返しその度に泣いて。
妹に点訳を頼みタイトルなどをメールしながら泣いて。今もこれを書きながら涙がでます。昭和21年に生まれ、戦争を意識しながら生きてきました。出版してくださりありがとうございます。(74歳・女性)
この出来事は後世にも語り続けていかなくてはいけないことだと思います
戦争にかかわる本を多く読みました。『大地の子』『二つの祖国』『はだしのゲン』妹尾河童さんの体験談、長崎、広島の記念会館、沖縄のこと、シベリア抑留、一つの戦争が引き起こした残酷で悲しい出来事。
山田清一郎さんはよくこの激動の中を生きのびてこられたと思います。この出来事は後世にも語り続けていかなくてはいけないことだと思います。
私の母も神戸の人です。今は亡き母からは、一度も戦争の話を聞いたことはありません。(70歳・女性)
まさしく私が目にした光景そのものです
私は小3の夏休みに、父に連れられ東北の郡山駅から汽車に乗り上野駅に着いた。そこで目にしたのは夏とはいえ服を着ていない子どもたちの姿。
この本の149ページはまさしく私が目にした光景そのものです。その時、父はその子どもたちのことを“浮浪児”だと言った。「見ないで歩け」とも言った。私の上京目的は役所勤めの叔父が、休日に上野動物園に連れてゆく であった。私は一晩泊まって帰宅してしまった。
その後、あの子どもたちがどのような人生を歩いたであろうか。どうかしあわせにと願い続けた。
私と同年代で孤児になった人たちの今を知りたいと思った。(78歳・女性)
幅広い多くの人に読んでもらいたい一冊
作者の洞察力が冷静さの中にもきちんとした資料を基に書かれた事に、感謝さえしています。私達がもっと伝えてこなければいけなかった大切な事を、作者はていねいに調べ、子どもたちに戦争をリアルに伝えている。
この夏、幅広い多くの人に読んでもらいたい一冊です。(76歳・女性)

推薦のことば

『命のうた』~十歳の戦争孤児と、母たちと、わたし
(母のひろば674号) 2020年7月15日
 元・戦争孤児の山田清一郎さん(本書の中の“セイちゃん”)に取材を始めたのは、2016年の梅雨どきだった。
 初めて「戦争孤児」、そして山田さんのことを知ったのは、2015年7月、朝日新聞の記事だった。戦争孤児の存在と、その過酷な体験に衝撃を受け、涙が止まらなかった。東日本大震災の震災孤児や、長男が当時の戦争孤児(10歳前後が多い)の年齢と近かったことで、シンクロした部分があったのかもしれない。
 「後世に語り継ぐべきだ」と直感的に思ったが、自分の手に負えるテーマではないと思った。自分は(両親でさえも)戦後生まれであるし、長男を筆頭とした3児の母という事情もあって、冷静に向き合える自信がなかった。そのまま胸にしまって時が流れた。
 1年ほど経ったある明け方、ふと胸騒ぎで目がさめた。「やっぱり書かなくちゃいけない」。日付を見ると6月5日、山田さんが神戸大空襲に遭い、戦争孤児になった日だった。何かが呼んだのか、いや、やはり意識のどこかから消せずにいたのだろう。
 すぐ企画書をまとめ、「児童ノンフィクション研究会(作家と編集者が定期的に集まる勉強会)」でメンバーに相談した。そこで「私たちは、戦争体験を直接聞ける最後の世代になる」という事実に気づかされ、突き動かされるように山田さんに連絡を取り、取材に行った。
 以来、山田さんとの交流は4年になる。取材は、対面以外に電話とメール。メールのやりとりは180通になった。
 神戸や長野県松代町、東京の町……山田さんが歩いた道をたどり、当時の痕跡や資料を探し、あちこちに問い合わせた。「本当の飢え」がわからないので、絶食して山田さんに止められたこともあった。
 「なぜ、なにが、あなたをそこまで動かすんですか?」
 これまで何度か、山田さんから同じ質問を受けた。その問いに、今もうまく答えられない。ただ、ずっと根底に「なかったことにしてはいけない」、「2度と繰り返してはならない」という母親としての怒りがあったように思う。それは、我が子をひとり残して世を去らねばならなかった山田さんの母、いや、すべての戦争孤児の母たちの怒りでもある。
 出版が未確定だった時期、支えになったのは、初稿を読んだ長男の感想だった。「浮浪児のこと、知らなかった。あと戦争が起きたらどうなるか分かる。あと、(読んだ人は)生きなきゃって思うかもね。なんかイヤなこととかあって、死にたいとか思ってる人も、死んじゃダメだって思うかも」
 過酷な環境下でも人間らしい心を失わずに生きのびた山田さん(セイちゃん)に、何度でも伝えたい。
 あの子たちのことを伝えてくださったこと、今日まで生き抜いてくださったことに、心からの尊敬とありがとうを。
竹内早希子/ノンフィクション作家

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