がっこうかっぱのイケノオイ
ぼくは、あさのかいのとき、クラスのみんなの前でしゃべる「スピーチ」がきらい。うまくしゃべれないし、どきどきしてあさごはんをもどしそうになる。みかちゃんもだまったまま、なみだをうかべている。
きょうはアンドレくんのばんだ。アンドレくんは、日本語がじょうずじゃない。「カッパ、ミタ」といってカエルをみせて、みんなに笑われた。でも、帰りに学校の池でぼくと、アンドレくん、みかちゃんはカッパをつかまえる。カッパの飼い方なんてわからないから弱らせてしまう。あめ玉で一命をとりとめるカッパ。その瞬間、ぼくたちは池の中にしょうたいされ、心を通わせて、お互いの気持ちを知る。
カッパは学校でいちばん好きな音は笑い声だという。だからこの池にいるんだ、と。その後、三人は学校でよくわらうようにった。
- 第57回青少年読読書感想文全国コンクール・小学校低学年(1~2年生)向け課題図書(2011年度)
- 定価1,320円 (本体1,200円+税10%)
- 初版:2010年12月20日
- 判型:A5変型判/サイズ:21.5×15.3cm
- 頁数:96頁
- 小学1・2年~
- ISBN:978-4-494-01952-6
- NDC:913
子どもたちが一日の大半を過ごす学校。
なかには、あんまり楽しく思えなくて、学校に行くのがつらいなと思っている子もいるはず。そんな子どもたちの力になれる物語です。
学校っていいな。学校って楽しいな。
読んだあと、子どもたちがそういう気持ちになってくれたら、と思っています。
子どもたちの笑い声に満ちた学校、家庭、そして……子どもたちが笑っていられる世の中ってすてきだなと、当たり前だけど大切なことを、思い出させてくれる物語です。親子で読みあって、話し合うきっかけにも。
内容説明
ぼくは、あさのかいのとき、クラスのみんなの前でしゃべる「スピーチ」がきらい。うまくしゃべれないし、どきどきしてあさごはんをもどしそうになる。みかちゃんもだまったまま、なみだをうかべている。
きょうはアンドレくんのばんだ。アンドレくんは、日本語がじょうずじゃない。「カッパ、ミタ」といってカエルをみせて、みんなに笑われた。でも、帰りに学校の池でぼくと、アンドレくん、みかちゃんはカッパをつかまえる。カッパの飼い方なんてわからないから弱らせてしまう。あめ玉で一命をとりとめるカッパ。その瞬間、ぼくたちは池の中にしょうたいされ、心を通わせて、お互いの気持ちを知る。
カッパは学校でいちばん好きな音は笑い声だという。だからこの池にいるんだ、と。その後、三人は学校でよくわらうようにった。
読者の声
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伸びようとする力(53歳・女性)
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音楽好きのカッパというのは、楽=学に通じるという作者の思いがこもっているのでは?と思いました。
イケノオイを見ることができたのも、心の痛みや弱さを感じ、向き合うことのできる「ぼく」たちの、伸びようとする力のためなのかもしれません。「カッパはいる」という秘密をもつ(3人で共有できる)って、すばらしいです。
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がっこうかっぱのイケノオイの感想
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音楽好きのカッパというのは、楽=学に通じるという作者の思いがこもっているのでは?と思いました。イケノオイを見る事ができたのは、心の痛みや弱さを感じ、向き合うことのできる「ぼく」たちの伸びようとする力のためかもしれません。
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推薦のことば
- 作者、山本悦子さんから読者の皆さんへ 2010年12月10日
- 子ども達にとって、学校生活はとまどうことがいっぱいです。勉強のことだけではありません。給食とか、朝のスピーチとか、遠足のグループ決めとか、休み時間のドッジボールとか、悩みはつきません。
校庭のすみの池に住んでいる小さなカッパのイケノオイは、長いこと子ども達の様子を見守ってきました。時には子ども達の吹くリコーダーにあわせておどったり、子ども達のおしゃべりに耳を傾けたり、歌を歌ったり。そして、迷い立ち止まっている子どもに出会ったとき、「学校では、泣き声やおこってる声も聞こえるけど、一番たくさん聞こえるのは笑い声だよ。」と、そっと背中を押すのです。
少し離れたところから、子ども達を見守る温かい目が、子どもの世界を広げるのかもしれません。 学校は、いやなことも、面倒くさいこともたくさんあるし、逃げ出したくなることもあるけれど。でも、楽しいことは、その何倍もあります。子ども達が、学校生活を楽しんでくれること。それが一番の願いです。 - 山本悦子 (やまもと えつこ/児童文学作家)
- なるほど、そうだったのか!
- 河童の名前が「イケノオイ」か。ふーむ、渋い!
最初にタイトルを見たときの感想です。
まさに河童にぴったり。由緒ある河童の伝統的な名前みたいではありませんか。しかし、読んでみて名前の由来がわかったときは、つんのめりました。なるほど、そうだったのか!
ここでは、そのわけを明かしません。ぜひ、読んでみてください。
作者の山本悦子さんは、つい最近まで小学校の先生をしていましたから、学校生活を書くのはお手のもの。イケノオイが死にそうになったときの「ぼく」のようすや、対応する先生の受けこたえにも、とてもリアリティがあり、いちいち共感できるのです。
このお話の鍵をにぎるのはアンドレくんという外国人の子どもです。
彼は、まさに多文化共生社会になりつつある日本を象徴するような存在です。そんな今の時代に生きる子どもたちを、こんな風にいきいきと映し出せるのも、山本さんの大きな強みです。
最後に、イケノオイが言ったなぞなぞ、「学校でいちばんよくきこえる音、なあんだ?」
こたえは、このお話を最後まで読めばわかります。なあるほど! - 末吉暁子(すえよし あきこ/児童文学作家)
書評
- 朝日小学生新聞 2011年1月15日 新刊ガイド
- 学校って楽しいところだよ、と背中を押してくれるお話です。
- 『1・2年生 つぎ、なにをよむ?』(偕成社) がっこうのとびら
- 秋山朋恵(あきやま ともえ)
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