今年の十五夜は9月21日（火）です。
すっきり晴れて、きれいなおつきさまが見られるといいですね。

今日ご紹介するのは、月をテーマにした絵本2作です。


『14ひきのおつきみ』
世界中で愛される「14ひきのシリーズ」から、今日は1988年刊行のこちらの作品です。


「ぐーい　ぐい」とくんちゃんがかごに乗って木の上へとのぼっていきます。
お家があるくぬぎの木の高い場所に、子どもたちがお月見台をつくっていました。

日が暮れて、お父さんお母さん、おじいさんおばあさんもやってきます。
すすきをかざって、おだんごや木の実をおそなえして、待っている14ひき。

そして……ついにおつきさまが出ました。

「おつきさん　ありがとう、
たくさんの　みのりを　ありがとう、
やさしい　ひかりを　ありがとう。」

今夜はやわらかなおつきさまの光の中で、家族団らんのひとときです。


昼間から夕焼け、夕闇、そして月が照らす夜の闇。
刻々と変化していく微妙な空の色あいが美しく描かれています。

（いわむらかずお・さく）

『おつきさま ひとつずつ』
こちらは、絵本作家・長野ヒデ子さんの子育ての思い出から生まれた一冊です。

あこちゃんは、おかあさんと手をつないでおうちへ帰ります。
空にはまんまるのおつきさま。

「おかあさん、おつきさまが　ついてくるよ」
「あこちゃんが　だいすきなのかもよ」

そんなお話をしていると、あこちゃんがこんなことを言いました。

「なんきょくにも　おつきさま　あるの？」
「あるわよ」

「アフリカにも　おつきさま　ある？」
「あるよ」

あこちゃんはなぜそんなことを聞いたのでしょうか？
長野ヒデ子さんの言葉をご紹介します。


お月さまと、大事なあなたへ

まんまるお月さまを、幼い日の娘と眺めたあの日を思い出し絵本を作りました。

「みんなひとつずつあって、よかったね」と言った娘。
お月さまがどこからでも眺められるというのなく、
みんなにひとつずつある、という子どもの感性に心が震えました。

お月さまや自然の偉大なものは独り占めしてはいけないこと、
どんな人にも「みーんな　ひとつずつある」このことはすべての原点だと思いました。

幼い子からもらったこの宝物のような言葉を、私はずうっと大事に抱いていました。

長野ヒデ子


あこちゃんにも、遠くの国の人にも、おつきさまが「ひとつずつ」あってよかった。
あたたかな子どもの思いに心が動かされます。

（長野ヒデ子・作）