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2020.12.01
<いま、演じたい紙しばい>刊行50周年をむかえた民話紙しばいの傑作『たべられた やまんば』
今日ご紹介するのは、今年刊行50周年を迎える民話紙しばい『たべられた やまんば』です。
脚本は絵本『いないいないばあ』など数多くの名作を残した児童文学作家、松谷みよ子さんです。
こぞうが栗ひろいに出かけた山の中で出会ったのは、自分の“おば”だと名のるひとりのおばあさんでした。
「これ、こぞう、おれは おまえの おばだぞい。おまえの おとうの、ねえさんの、よめさんに いったさきの
おばさんの いもうとだぞい。」
今晩栗を煮ておくから遊びに来いというおばあさんの誘いことばに、こぞうはすっかりその気になります。
おしょうさんは、それはやまんばだから行かない方がいいと止めますが、こぞうは聞きません。
そこでおしょうさんは、こぞうに3枚のお札を持たせてくれました。
おばあさんの家で栗をお腹いっぱい食べたこぞうは、そのまま寝てしまいました。
夜中に目を覚ますと、なんとおばあさんは恐ろしいやまんばになっていたのです――。
「さんまいのおふだ」としてよく知られる民話を、紙しばいにしたこの作品。
こぞうがお札を使いながらやまんばから逃げていく後半は、大きな川や砂の山がお札からあらわれ、
一気にテンポアップしていきます。
紙しばいならではの臨場感をたっぷりと味わえる、ドラマチックな展開です。
命からがら、こぞうはなんとかお寺まで逃げてきました。
なおも追いかけてくるやまんばからこぞうを救ってくれたのは、おしょうさんの見事な知恵でした。
民話研究家でもあった松谷みよ子さんの脚本では、日本語のもつ豊かな響きやリズムを楽しめます。
二俣英五郎さんによる絵は、民話らしい味わいと紙芝居の特性を生かした大胆な構図で、高い評価を得てきました。
半世紀にわたって愛され続ける理由がわかる、これぞ!民話紙しばい。
どうぞお楽しみください。
16場面。3歳から。
(松谷みよ子・脚本 二俣英五郎・絵)
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大型紙しばい たべられたやまんば
山寺の小僧さんがしんせきのおばあさんのところへ遊びに行くと、おばあさんはじつはやまんばで…。民話紙芝居のベスト作品の大型判紙芝居。
- 3歳~
- 2002年8月30日初版
- 定価10,450円 (本体9,500円+税10%)
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民話かみしばい傑作選
ダイナミックで、ちょっとこわい民話の新しい決定版。有名な民話、昔話をセレクトした傑作紙芝居シリーズです。『たべられたやまんば』『ちからたろう』『おけやのてんのぼり』『くわず女房』『子そだてゆうれい』の全5巻セット。
- 3歳~
- 2005年4月1日初版
- 揃定価11,770円 (本体10,700円+税10%)
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いないいないばあ
日本の絵本ではじめて! 累計700万部を突破
1967年の刊行から、半世紀あまり。
2020年には日本の絵本で初めて700万部を突破し、現在750万部を超えるロングセラー絵本となっています。(※1)。
世代を超えて読みつがれる、「人生で初めて出会う一冊」です。
※1…株式会社トーハン発行「ミリオンぶっく 2024」調べ
あかちゃんに語りかける言葉
あかちゃんと目があう絵
「いないいないばあ にゃあにゃが ほらほら いないいない……」
『いないいないばあ』の文章は、作者の松谷みよ子さんが子育ての中でわが子に語りかけていた言葉がもとになっています。
画家の瀬川康男さんは、あかちゃんと向き合い試作を重ねました。
「ばあ」の場面の動物たちは、あかちゃんと目があうように描かれています。
あかちゃんと一緒に読むと、言葉と絵がひとつになり、臨場感をもっておひざの上のあかちゃんに伝わります。- 0・1歳~
- 1967年4月15日初版
- 定価770円 (本体700円+税10%)
- 立ち読み