2020.06.25

海外でも人気!「雨ふる本屋」シリーズ 著者・日向理恵子さん

7月1日に発売を予定している人気シリーズ「雨ふる本屋」第5巻目となる最新巻『雨ふる本屋と雨かんむりの花』




海外では韓国版、中国版、ロシア版が刊行され(*1)、今後台湾版、ベトナム版の刊行を予定しています。

今回、ロシア版出版社からの問いかけに対して、ご自身の創作活動とこのシリーズについて、著者の日向理恵子さんより頂いたコメントを日本の読者のみなさんにもご紹介します。

(画家・吉田尚令さんのコメントは後日ご紹介します)








――創作活動をはじめたのは、いつからでしょう。


5,6歳のころです。ノートに、絵本のようなものを書いていました。

上の写真は日向さんが7〜8歳ごろに書いたもの。
絵の下に「そこには おばけの いえが ありました」という文章が書かれている。




――これまでどんな創作活動をなさってきましたか。また創作の経験をどこで積んできましたか。


小学生のころから、出来の悪い生徒で、しょっちゅう保健室にこもっていたのですが、そのときに保健の先生がタイピングの仕方を教えてくださいました。
教室で、自宅で、いつも書くか読むかしていたように思います。子どものころから常に、書くための道具を持ち歩いていましたが、最後まで書ききれた物語はあまり多くありません。


――「雨ふる本屋」の創作はどこからインスピレーションを得たのでしょうか。


わたしは二人姉妹の妹ですが、四つ上の姉を見ていて、いつも大変そうだなと思っていました。子ども向けの物語の主人公は、たいてい末っ子です。そこで、「姉」が主人公のものを書いてみようと思いました。
また、ファンタジーといえば海外のもの、というイメージが強かったのですが、日本で生まれたふつうの主人公が、日本的なモチーフも散りばめた異世界でおとぎ話を体験してゆくのを見てみたい、という思いがありました。

本シリーズの主人公ルウ子と妹のサラ。(第2巻『雨ふる本屋の雨ふらし』)


――「雨ふる本屋」に込めた、こどもたちへのメッセージをお聞かせください。


特別、こどもたちにむけたメッセージというものはないのですが……
手にとってくださったのが子どもであれ、大人であれ、日常とはちがった世界で遊んでいただくことが叶えばうれしいです。そうした遊びが、日常を真に豊かにするのだと感じています。


――もし、大人と子どもが「雨ふる本屋」について語り合うなら、なにを主題にしたらいいでしょう。



まずは好きなシーンや登場人物、お気に入りの挿絵などだと思います。おたがいに、「自分が気に入ったところ、おもしろかったところ」。逆に「退屈だった、つまらなかったところ」「自分だったらこうするのに」というのがテーマでもいいと思います。各々が読んで体験してきたことを共有することが、大人、子どもにこだわらず、同じ本を読んだ者どうしが語り合うことの、もっとも大きな楽しみではないでしょうか。

また、もし「自分が書きかけたけれど、おしまいにたどり着かなかった物語」があれば、「あの物語はどうなっただろう?」ということを話しあう、というのも楽しそうだと思います。そこから新しい物語が生まれてくるかもしれません。


――ありがとうございました。




以上、日向理恵子さんから頂いたコメントのご紹介でした。
新刊『雨ふる本屋と雨かんむりの花』は7月1日の発売です。
どうぞお楽しみに!




*1
『雨ふる本屋』韓国版 ISBN:9788992844437
『雨ふる本屋』中国版 ISBN:9787513332422
『雨ふる本屋』ロシア版 ISBN:9785604148334




雨ふる本屋と雨かんむりの花

単行本図書

雨ふる本屋と雨かんむりの花

日向理恵子 作/吉田尚令

ルウ子とサラが「雨ふる本屋」へ行くと、舞々子さんのようすがへんです。いつもお茶とお菓子の準備もわすれるので、ヒラメキ幽霊の執筆も進みません。原因は難しいお菓子のレシピだと教えてくれたブンリルーが、ルウ子に「いったい何を連れてきたの?」と言いますが、ルウ子には心当たりがありません。ルウ子がもとの世界から連れてきたのはサーカス団、図書館でだれにも読まれず忘れられているサーカスの物語だったのです……。
大人気「雨ふる本屋」シリーズ第5作。

  • 小学3・4年~
  • 2020年7月1日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
雨ふる本屋と雨もりの森

単行本図書

雨ふる本屋と雨もりの森

日向理恵子 作/吉田尚令

すきまの世界に、かつて夢みられたまま忘れられた「王国」が氾濫し始めました。〈雨ふる本屋〉でも異変が。白紙のままの巨大な〈雨ふる本〉、収められるべき物語はどこにあるのでしょう。ルウ子とブンリルーは、すべての鍵を握る謎の“影の男”ウキシマ氏を探し出します。そして聞かされた「王国」の姿。ルウ子が突き動かされるように王国の物語を書き始めたとき、すべての歯車が一斉に回り、壮大な「博物館」が出現したのです。

  • 小学3・4年~
  • 2018年6月13日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
雨ふる本屋とうずまき天気

単行本図書

雨ふる本屋とうずまき天気

日向理恵子 作/吉田尚令

フルホンさんが、「絶滅かぜ」にかかってしまった!それは、生きとし生けるものに絶滅の呪いをかけてしまう病。〈雨ふる本屋〉に、すきまの世界の皆に危機が迫ります。彼らを助けるために奔走するルウ子とサラが出会った摩訶不思議な女の子、ブンリルーの秘密とは……。新しい旅の幕開けです。今回スケールが一段と増したすきまの世界での冒険を通じてルウ子は自分と向き合い、「物語を書くこと」への確かな手応えを得ていきます。

  • 小学3・4年~
  • 2017年5月10日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
雨ふる本屋の雨ふらし

単行本図書

雨ふる本屋の雨ふらし

日向理恵子 作/吉田尚令

「雨あめ 降れふれ 〈雨ふる本屋〉!」ルウ子と妹のサラがひみつの呪文をとなえて訪れた〈雨ふる本屋〉に、重大な危機がせまります。本屋や図書館を破壊してまわる”ミスター・ヨンダクレ"の目的とは?ルウ子は〈雨ふる本屋〉を、そして妹のサラを救うことができるのでしょうか?冒険の日々がはじまります。読みおわったときに、心がほっとするファンタジー。

  • 小学3・4年~
  • 2012年10月30日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
雨ふる本屋

単行本図書

雨ふる本屋

日向理恵子 作/吉田尚令

おつかいの帰り、ルウ子は、カタツムリにさそわれて“雨ふる本屋”へ。出迎えてくれたのは、摩訶不思議な本と、ドードー鳥の店主と助手の舞々子、そして妖精たち。ドードー鳥の店主が、ここにある本は、人間に忘れられた物語に、雨をかけてできあがるという……。
「物語」への、愛と信頼をこめたファンタジー。

  • 小学3・4年~
  • 2008年11月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み