2019.12.27

<連載>アニバーサリーおめでとう!『おさじさん』&『のせてのせて』

記念すべき節目をむかえたロングセラー作品をご紹介するこの連載。今回ご紹介するのは、1969年の刊行から半世紀を迎えた『おさじさん』『のせてのせて』です。


『おさじさん』
おやまをこえて、のはらをこえて、やってきたのは、そう、おさじさんです。
おさじさんは、おかゆにはなをつっこんでしまったうさぎさんを、手伝ってあげることに。

おくちの トンネル
アアーンと あいて
おさじさんは はこびます
たまごの おかゆをはこびます
ポッポー

うさぎさんはおいしい笑顔になりました。

離乳食をはじめたあかちゃんとお母さんお父さんにとって、おさじさんは心強い味方。
絵本でおさじさんと仲よしになると、ごはんの時間も「おくちの トンネル アアーンと あいて……」と『おさじさん』のフレーズがあかちゃんの気持ちを楽しくしてくれるでしょう。

『のせてのせて』
まこちゃんのじどうしゃがはしります。

ストップ!
のせて のせて
うさぎが てを あげて います

こうして増えていくおともだち。まこちゃんのじどうしゃはいっぱいになりました。
じどうしゃはやがてトンネルに……。


くり返される「ストップ!」「のせてのせて」の語感が楽しく、まこちゃんと一緒に走っていくような、心地いいスピード感が味わえます。
トンネルの場面は一転してまっくらな画面。ここであかちゃんは少し不安な気持ちになりますが、遠くに見える明るい出口に導かれ、ページをめくると「でた!おひさまだ!」。
あかちゃんが楽しめるハラハラドキドキがつまった1冊です。

この2作は、日本で一番読まれている絵本『いないいないばあ』と同じ「松谷みよ子あかちゃんの本」シリーズです。『おさじさん』は累計111万部、『のせてのせて』は149万部と、世代を超えて愛されつづけています。
シリーズがはじまった1967年当時、あかちゃん向けの絵本はほとんどありませんでした。松谷さんは自身の子育てをとおして「赤ちゃんに精神が芽生えはじめたこの時期に、美しい日本語を伝えたいし、よい絵本で育てたい。※」という思いを強くし、試行錯誤をくり返しながらシリーズ9作を創りあげていきました。


『おさじさん』『のせてのせて』、そして「松谷みよ子あかちゃんの本」シリーズは、今までもこれからも、あかちゃんの毎日にそっと寄りそいます。

現在全国の書店では、『おさじさん』『のせてのせて』50周年フェアを開催中です。
冬休みにぜひご家族でお出かけください。


連載「アニバーサリーおめでとう!」は今回で最終回。1年間お付き合いくださり、ありがとうございました。
来年もさまざまな形で、愛されつづける本や紙芝居をご紹介していきます。

※…月刊『絵本』( 1974年10月号 盛光社刊)

(松谷みよ子・ぶん 東光寺啓・え)
おさじさん

松谷みよ子 あかちゃんの本

おさじさん

松谷みよ子 ぶん/東光寺啓

おいしいにおいにさそわれて、うさぎのぼうやのところに、おさじさんがやってきました。
うさぎのぼうやは、とろとろあつあつのおかゆを食べようとしますが、おかゆに鼻をつっこんでしまい、「あっちっち」「えーんえーん」。
でもだいじょうぶ。おさじさんがお手伝いします。

おくちの トンネル
アアーンと あいて
おさじさんは はこびます
たまごの おかゆを
はこびます
ポッポー

「ああ おいしい」とうさぎさんは笑顔になりました。

離乳食を食べはじめたあかちゃんとお母さんお父さんにとって、おさじさんは身近な存在。
絵本でおさじさんと仲よしになると、ごはんの時間も楽しくなりますね。

離乳食をはじめる頃からおすすめしたい、110万部をこえるロングセラーあかちゃん絵本です。

  • 0・1歳~
  • 1969年8月31日初版
  • 定価770円 (本体700円+税10%)
  • 立ち読み
のせてのせて

松谷みよ子 あかちゃんの本

のせてのせて

松谷みよ子 ぶん/東光寺啓

まこちゃんの じどうしゃです 
はしりますよ ブブー
ストップ!
のせて のせて
ウサギが てを あげて います

まこちゃんのじどうしゃは、うさぎをのせてはしります。クマや、ネズミの家族など、だんだんと増えていくおともだち。そして、みんなののったじどうしゃはトンネルにはいって……。

「ストップ!」「のせてのせて」のくり返しが楽しく、まこちゃんと一緒に車にのっていくような、心地いいスピード感が味わえます。
トンネルの場面は一転してまっくらな画面に。
ここであかちゃんは少し不安な気持ちになりますが、遠くに見える明るい出口に導かれ、ページをめくると「でた!おひさまだ!」。ハラハラドキドキがつまった展開です。

動物や車に興味をもちはじめたあかちゃんにぴったり。
140万部をこえるロングセラーあかちゃん絵本。

  • 0・1歳~
  • 1969年7月5日初版
  • 定価770円 (本体700円+税10%)
  • 立ち読み
いないいないばあ

松谷みよ子 あかちゃんの本

いないいないばあ

松谷みよ子 ぶん/瀬川康男

日本の絵本ではじめて! 累計700万部を突破
1967年の刊行から、半世紀あまり。
2020年には日本の絵本で初めて700万部を突破し、現在735万部を超えるロングセラー絵本となっています。(※1)
世代を超えて読みつがれる、「人生で初めて出会う一冊」です。
※1…株式会社トーハン発行「ミリオンぶっく 2023」調べ

あかちゃんに語りかける言葉
あかちゃんと目があう絵

「いないいないばあ にゃあにゃが ほらほら いないいない……」
『いないいないばあ』の文章は、作者の松谷みよ子さんが子育ての中でわが子に語りかけていた言葉がもとになっています。

画家の瀬川康男さんは、あかちゃんと向き合い試作を重ねました。
「ばあ」の場面の動物たちは、あかちゃんと目があうように描かれています。

あかちゃんと一緒に読むと、言葉と絵がひとつになり、臨場感をもっておひざの上のあかちゃんに伝わります。

  • 0・1歳~
  • 1967年4月15日初版
  • 定価770円 (本体700円+税10%)
  • 立ち読み