あんちゃん
「あんちゃん」という一人の小学生の姿を、仲のよい弟の目線から語っていく本作。弟のあんちゃんへの尊敬や、優しさを感じる人間味あふれるお話です。
人が過酷な運命に出会ったとき、それを受け入れるのはむずかしいことですが、あんちゃんは目の前にある毎日を、たんたんと生きていきます。その鈍さや強さが、読者の心を打ちます。そしてこのお話が実話であるということが、読者の勇気になるのではないでしょうか。
内容説明
あんちゃんは、体はでかいし、ごはんだって何杯もおかわりする。あんちゃんはおいらの自慢の兄ちゃんなんだ。ある日、おいら、あんちゃんの目の病気について家族が話してるのを聞いちゃったんだ。どんどん目が悪くなる病気なんだって。
関連情報
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2019/8/6
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推薦のことば
- かっこいいぜ、あんちゃん! 2013年4月2日
- 高部晴市さんの絵本は、いつも笑える。のんびり流れる時間の中で、でぇーんとゆるぎないユーモアが心地よい。新刊『あんちゃん』も、そう……かと思って読みはじめたら、ちょっとちがう、新しい魅力も詰まっていた。
表紙の丸々むっちりした子が、あんちゃん。丸めがねが、ぴったりだ。その姿に、ふふと笑う。さて、どんな子かな? 「あんちゃんは すごいんだぜ」と、弟くんが、自慢の兄ちゃんを楽しく紹介してくれる。体はでかくて力持ち、地域のソフトボールチームでは四番打者。でも、守備ではボールを見失ったり、ベースが見えなかったり……。ここで、あんちゃんが深刻な問題を抱えていることがわかる。笑えない。緊張してページをめくると……、あんちゃんのほうが、ニコニコ笑っている。いいなあ、この感じ。
やがてむかえるソフトボールの試合。相手は強豪チームだ。1対0とリードされた最終回、ツーアウト、ランナー二塁で、打席はあんちゃん。一打同点か、逆転か? ページをめくるたび、一球一球、ほんとにドキドキする。いいなあ、この臨場感。バットを握る腕っぷし、腰の入ったスイング、真剣な瞳……試合の中のあんちゃんは、文句なしにかっこいいし。
こうして笑って緊張してドキドキしているうちに、いいな、あんちゃん、好きだなとしみじみ思えてくる。その感じが、たまらなく心地よい。 - 大塚葉子(おおつか ようこ/編集者)
書評
- 毎日新聞 2013年5月29日
- 目の難病抱える野球少年 絵本に
- 朝日小学生新聞 2013年4月20日 新刊ガイド
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