2023.09.21

<連載⑧>自然がもつ不思議なちから『14ひきのあきまつり』

ことし40周年をむかえた「14ひきのシリーズ」
今回ご紹介するのは、『14ひきのあきまつり』です。

1992年に刊行されたシリーズ8作目となるこの絵本。
美しい紅葉があふれる表紙から、秋の森へといざなわれます。


かくれんぼをしていた14ひき。
いなくなったろっくんをさがしていると、森の中であきまつりがはじまりました。

せいや せいや きのこの みこし。
せいや せいや くりたけきょうだい。


みこしをかつぐかえるにどんぐり。
かまきりやとかげ、とんぼもくわわって、森中にかけごえがひびきます。

そんなにぎやかなおまつりは、つよい風とともに過ぎさって……。


作者のいわむらかずおさんは、こう語っています。

「秋というのは、華やかな紅葉がありつつも、あるいきものは休息に向かい、またあるいきものは一生の終わりをむかえる――そんなことが混在する季節なんです。」

「この絵本でいきものたちがしているのは、自然の中の神にたいする感謝のおまつりです。」と、いわむらさん。

自然のもつ力、自然がもたらすめぐみ。
その大きさを感じているいわむらさんだからこそ描けた、いきもののおまつりです。


いわむらさんはにっこり笑ってこう教えてくれました。
「きのこって、動くんですよ。」

みなさんも秋の森で、きのこのみこしに出会えるかもしれません。


(いわむらかずお・さく)
14ひきのあきまつり

14ひきのシリーズ

14ひきのあきまつり

いわむらかずお さく

紅葉で色づいた秋の森。
子どもたちは、お母さんたちが木の実採りに行った間に、おばあちゃんと一緒にかくれんぼです。
さあみんなは、どこにかくれているのでしょう?

「よっちゃんが みつかって、
 あっ、いっくんも みーつけた。
 にっくんと、ろっくん、はっくんは どこかな。」

でも、あれれ、おっちょこちょいの、ろっくんだけがみつかりません。

「へんだぞ、ろっくん でてこない。
 たいへん、ろっくん きえちゃった。
 ろっくーん、ろっくーん、ろっくーん。」

ろっくんをさがす14ひきたちは、森の中ではえていたクリタケたちにたずねます。
「ねえ、ねえ、ろっくん みなかった?」

すると、なんとクリタケたちが動き出し、ついた先では、カエルやどんぐりがみこしをかつぐ、不思議なお祭りが行われていて……。

秋の森を舞台にした人気ロングセラーシリーズ「14ひきのシリーズ」第8作。
秋の森にあふれる、豊かな実りと生命力が、不思議な秋の祭となって14ひきたちの前に現れます。

  • 3歳~
  • 1992年10月3日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み