2022.09.09

<連載・なんの日?>今年の十五夜は9月10日。『おつきさま ひとつずつ』

今日は十五夜。みなさんのお住まいの場所からは、中秋の名月が見られるでしょうか。

お月さまをゆったりとながめたい日にぴったりの絵本『おつきさま ひとつずつ』をご紹介します。
こちらは、絵本作家・長野ヒデ子さんの子育ての思い出から生まれた1冊です。



あこちゃんは、おかあさんと手をつないでおうちへ帰ります。
空にはまんまるのおつきさま。

「おかあさん、おつきさまが ついてくるよ」
「あこちゃんが だいすきなのかもよ」

そんなお話をしていると、あこちゃんがこんなことを言いました。

「なんきょくにも おつきさま あるの?」
「あるわよ」

「アフリカにも おつきさま ある?」
「あるよ」


あこちゃんはなぜそんなことを聞いたのでしょうか?

長野ヒデ子さんの言葉をご紹介します。

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お月さまと、大事なあなたへ

まんまるお月さまを、幼い日の娘と眺めたあの日を思い出し絵本を作りました。

「みんなひとつずつあって、よかったね」と言った娘。
お月さまがどこからでも眺められるというのでなく、
みんなにひとつずつある、という子どもの感性に心が震えました。

お月さまや自然の偉大なものは独り占めしてはいけないこと、
どんな人にも「みーんな ひとつずつある」このことはすべての原点だと思いました。

幼い子からもらったこの宝物のような言葉を、私はずうっと大事に抱いていました。

長野ヒデ子

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あこちゃんにも、遠くの国の人にも、おつきさまが「ひとつずつ」あってよかった。
あたたかな子どもの思いに心が動かされます。

(長野ヒデ子・作)
おつきさま ひとつずつ

童心社のおはなしえほん

おつきさま ひとつずつ

長野ヒデ子

ぽっかり月がでています。小さいあこちゃんは、おかあさんと手をつないでかえります。「おかあさん、おつきさまがついてくるよ」「そうよ。おつきさまは、あこちゃんがだいすきだからよ」「ねえおかあさん、アフリカにもおつきさまある?」「あるわよ」「イギリスにもある?」「あるよ」「おつきさまがみーんなにひとつずつあって、よかったね」あこちゃんは安心して、お家にかえりつきました。
心にのこる月夜のおはなしです。

  • 3歳~
  • 2019年9月1日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み