インタビュー
2025年度「⻘少年読書感想⽂全国コンクール」課題図書(⼩学校中学年の部) 『たった2℃で… 地球の気温上昇がもたらす環境災害』 作者・キム・ファンさん

<プロフィール>キム・ファン:1960年京都市生まれ。『サクラ 日本から韓国へ渡ったゾウたちの物語』(Gakken)で第1回子どものためのノンフィクション大賞最優秀賞、紙芝居『カヤネズミのおかあさん』(童心社)で第54回五山賞を受賞。おもな絵本に『すばこ』『ひとがつくったどうぶつの道』(共にほるぷ出版)『ねこはわたしのまねばかり』(あかね書房)など。日韓で自然科学分野の著書が多数ある。
本年度の「⻘少年読書感想⽂全国コンクール」課題図書(⼩学校中学年の部)に『たった2℃で… 地球の気温上昇がもたらす環境災害』が選ばれました。
本作はたった2℃の気温上昇がもたらす大きな影響を身近な生き物たちを題材に子どもたちにわかりやすく描いた絵本です。作者で、自然科学分野で多くの著作を発表されている児童文学作家のキム・ファンさんにお話を伺いました。
――温暖化は以前から環境問題として取り上げられてきたテーマですが、今回、改めてご自身の作品として取り組まれることになったきっかけが何かありましたら、教えてください。
2018年の10月にソウルで「ソウル・アジア環境教育フォーラム」がありました。ありがたいことにぼくは特別講演と紙芝居をさせてもらい、韓国側の通訳としても参加したのですが、香港、台湾、中国などから全体で111名が参加する大きな大会でした。
第1部から第3部までディスカッションをやったのですが、日本以外のほとんどの国からの発表はPM 2.5などの大気汚染と、気候変動がテーマだったんです。この危機に対して、どう教育して、どう立ち向かうかみたいな議論がずっとなされたわけですが、一方で、日本からの発表は、ゴミやリサイクルがテーマでした。それはそれで素晴らしい発表だったんですが、あれ? 日本の感覚と東アジアの国々にどこか違いがあるな、そういう危機感を抱いて帰ってきました。しかし当時日本のマスコミでは、温暖化を疑問視するような声も一部であり、きちんと気候変動の危機を伝えるものを日本でも書かなくてはと思うようになりました。
それで、まず日本の温暖化に関する資料や児童書を探して片っ端から読んでみたんです。すると日本でも温暖化に関する児童書がないわけじゃなく、たくさんあることがわかりました。
けれど、そのほとんどが小学校の総合学習の時間に使うための図書館用に作られた本で、内容も気候学とか地球物理学からのアプローチで温暖化を科学的に証明するような内容のものばかりでした。
本屋さんで売ってない、図書館でしか読まれない本はそれでいいかもしれないけれど、普通の書店で売っていて、お母さんやお父さん、子どもたちがいっしょに読める、それなりのレベルでインパクトあるものが書きたいし、そのためのアプローチはこういうものではないなと思いました。もっと直感的に、子どもが見ただけでわかるような絵本を作りたい、そう思ってできたのがこの絵本です。
この本をちょっと難しく一言で言うならば 、「カーボンニュートラル(温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」を差し引きゼロにする)を、生物多様性で解いた本」になります。
政府では、カーボンニュートラルの会議があり、気候変動会議があり生物多様性の会議がそれぞれ別ものとして議論されていますが、気候変動会議の内容を生物多様性で展開したのがこの本なんです。だから温暖化がテーマですが、作品には気候学の言葉は一つも出てきません。こういう発想ができたのは、自分としても良かったと思っています。
――キムさんは日本と韓国2カ国で作品を発表されていて、この作品も最初に韓国で出版されています。
本作は、原作が韓国のハンウルリム出版社(HANULIM PUBLISHING)で2023年に刊行され、翌2024年に日本語で翻訳出版されました。
韓国のハンウルリム出版社にいくつか企画をプレゼンしたんです。プレゼンがおわりかけた時に、「キムさん。気候変動をテーマになにか作ってみませんか?」ハンウルリム出版社の社長さんにそう聞かれて、「じつは、たった2℃で動物がどうなるかを絵で表す、そんな絵本を考えてるんですけど、まだ考えがまとまらなくて……」そう言って企画意図が箇条書きされた程度の、ほとんどメモのようなレベルの企画書を見せたら、社長がその場で「キムさん、 この企画、契約します!」そう言って編集者に契約書を作成して持ってくるよう命じたんです。
本文は一文字も書いてないんですよ。もうびっくりして。その後も、「あの本はとてもいい」「楽しみだ」としょっちゅう言われて、行くたびにぼくと編集者に「キムさん、あの本できましたか?」「期待してますよ」といつも言ってくださるのが反対にプレッシャーで……。そういうプレッシャーがあったからこれができたのかもしれません。
――――日本でもすぐに出版が決まったそうですね。
この本の編集担当のHさんに「韓国の出版社と今こんなものをやっています」と制作中の絵本のダミーを 送ったら、童心社は翻訳出版が少なくオリジナルの出版が多いのに、すぐに「出版します」とメールがきて本当にうれしかったし、おどろきました。ハンウルリム出版社の社長さんもすごいですが、Hさんもすごいですね。今回それがさらに課題図書にもなってもっとびっくりしました(笑)
――――女の子と猫のキャラクターが、気温や海温の上昇で生き物たちがうける影響を見守り、読者の気持ちを代弁するような構成になっています。
温暖化がテーマの絵本なので、重くならないよう、なにかキャラクターが絶対必要だと思いました。「からかう」までいかなくても、ちょっとくだけたことをキャラクターに言ってほしいなと思って。
もちろん、このキャラクターの絵も画家のチョン・ジンギョンさんが描いたものです。
本当は最初このキャラクターたちは犬と猫と女の子の3人でした。3人だと多いので犬はカットされたのですが、最初犬と猫を入れようしたのは、ぼくたち人間の体温が37℃なのに対して、犬と猫は39℃と、彼らの体温がちょうど2℃ 人間より高いからだったんです。
地球の気温上昇の2℃ と、人間と犬や猫の体温のちがいの2度をひっかけたのです。いろいろやってるうちに、あの動物も入れたいな、オランウータンも増やそうかなって、いろいろ葛藤がでてきました。絵本はある程度尺が決まっていて、入れられる内容に限りがあるので、そこの葛藤なんですね。
――――温暖化は難しくなりやすい科学的なテーマですが、登場するのは生き物たちなので、わかりやすいですね。順番やつながりもわかりやすい構成です。
まず「人間だって2℃体温が上がったら倒れてしまう」このアプローチが絶対に最初に来なくちゃいけないなと思いました。たくさんの生き物がいますので、どんな構成にするかいろいろ悩んだのですが、まず海から始めようと考えました。そして、海のウミガメが陸に上がる所から、陸の生き物たちが登場する流れを考えました。
人間だって2℃体温が上がったら倒れてしまうことからはじまり、海の生き物からウミガメで陸にあがり陸地に行くという流れになるよう、それで浜辺で、熱中症で人が倒れる場面から始まる展開になりました。
――――どうやって登場する生き物たちは選ばれたのでしょう?
ここが一番悩んだところですが、コンセプトは身近な生き物にしたんです。
先ほど話したように日本の温暖化の本をほとんど読みましたが、同じように韓国の本も探して読んでみました。韓国ではアメリカやフランスからの翻訳作品も含めて、ホッキョクグマが登場する「温暖化=ホッキョクグマがかわいそう」というパターンの本が多く、20冊以上ありました。けれど、「ホッキョクグマがかわいそう」だと、温暖化を表現するにはどこか違う。それだと温暖化がどこか遠いところで起こってるような感じがするじゃないですか。もっと身近な動物で、自分たちの周りにいる動物で表現できないか。それなら逆にホッキョクグマに食べられるアザラシはどうだろうかと考えました。日本では北海道に流氷にのってアザラシがやってきますが、韓国ではアザラシは、北朝鮮と韓国の間の北緯38度線付近にある海上の軍事境界線、北方限界線近くの無人島で暮らしてるんです。だから韓国ではアザラシは平和のシンボルなんですね。それなら、アザラシは最後に入れてはどうか、最初はそんな感じで文書を作り始めました。
他に身近な生き物なら、花はどうだろう、蝶は、虫はどうだろうと考えて、やっぱりまず魚は外せないと考えました。魚たちは国を超えて移動しますし、食卓にものぼるのでやっぱり一番身近ですよね。
ただ、絵本にした時に地味かなとも心配したんですが、この場面のチョン・ジンギョンさんの絵をみて「この絵ならいける、自信をもって魚を前にしよう」と思いましたね。
――――文章と絵のラフが同時にすすんでいたんですね。
この本は「作家の文章が出来上がってから、画家が絵を描く」という作り方ではなかったです。ラフがある程度上がってきたら、絵ではここを空けてくださいとか、背景は何色で、だからこの女の子は何色で、といった所までつめていきます。
ぼくは韓国でも20年近く子どもの本の仕事をしていますが、韓国と日本の大きな違いは、打ち合わせにデザイナーが入ることです。韓国ではちいさい出版社もデザイナーを抱えていて、作家と画家、編集者とデザイナーがみんなで「どう見せるか」という共通イメージを持って制作に入ります。また「この本は売れるぞ」となると、社内デザイナーじゃなくて有名なデザイナーに外注するケースもあります。
この本では「見開きで身近な生き物で温暖化を表すこと」「海から始まって最後は一番身近な虫でおわる」そういった基本コンセプトをみんなで共有して制作しました。
ところが制作中に画家のチョン・ジンギョンさんが体調を崩され、直接には会えませんでしたが、デザイナーが画家さんの意向を受けて参加して作っていく場合もありました。
韓国は絵に対するこだわりが強いお国柄なんですね。だからたとえば写真絵本はなかなか韓国では販売が伸びにくいと言われています。生き物の写真絵本だと、例えばカワセミが口を開きながら獲物を捕っている、なんて写真は本当になかなか撮れないんです。水の中やいろいろな所にカメラを設置して、アングルや光も工夫して撮影しなくてはなりません。写真を見せると「すごいな」と驚かれますが、韓国では写真は「たくさん撮影した写真の中の1枚」という感覚がどこかにあるからか、どんなに写真がすごくても残念ながらあまり売れないんです。だからその写真を写生して絵で表現しようとする。日本は反対で、細かいところまで文章にこだわりますよね。
――――――『たった2℃で…』の絵も、生き物の豊かさが色鮮やかに表現されていますね。
この絵本で、キムさんが特に思い入れのある絵や場面はありますでしょうか。
このサンゴ礁の場面には、画家のチョン・ジンギョンさんにご相談してクマノミなどの生き物を入れてもらいました。最初はきれいなサンゴ礁だけが描かれ、生き物が少ししかいなかったのです。「この場面は、きれいなサンゴ礁が汚くなるのではなく、たくさんの生き物でにぎわっていたサンゴ礁が、海水温があがり生き物がいなくなってしまう場面だから、もっといろんな生き物を入れてほしい」とお願いして、それでこうしていろいろな生き物が入ったんですね。
それから、やっぱりこのウミガメのところですね。このウミガメはヒメウミガメという一番小さな種類です。以前に鼻にプラスチックのストローが刺さったかわいそうなウミガメがコスタリカで発見され、世界中で写真や動画が拡散されて使い捨てプラスチックを見直す動きのきっかけになりましたが、あれもヒメウミガメでした。この子たちはこうやって集団で卵を産むんです。最初はアカウミガメ一匹だけで考えていましたが、この場面では、チョン・ジンギョンさんから集団のウミガメを描きたいと相談があり、ヒメウミガメたちの産卵の場面になりました。
――――筆づかいが残されていて、ウミガメたちの勢いを感じさせる絵ですね。
ウミガメは「うまれるまでのすなの温度によって、オスとメスが決まる」「温度が高すぎるとメスばかり、低すぎるとオスばかりうまれてしまう」「アメリカのフロリダ州の海岸では、この数年間にメスのウミガメだけがうまれた」
この作品への感想では、特にこのウミガメの「温度依存性決定」のエピソードに驚く方が多いようです。
以前にぼくは韓国で一度、ウミガメの科学読み物を出そうとしてあきらめたことがありました。名古屋に、名古屋港水族館というぼくが大好きな水族館があります。館内に人工の砂浜を作って、ウミガメの孵化をうながす実践を行っている水族館なんですが、そこに通いながらウミガメについて調べていると、なんと韓国では、ウミガメの産卵は2007年の済州島での記録が最後になっていることがわかりました。ウミガメの本を書くなら、赤ちゃんが生まれて、1万キロ向こうのアメリカ西海岸まで行きそこから大きくなって、また戻ってきて産卵するという大冒険がどうしてもメインストーリーになります。でも「韓国でウミガメの産卵がなくなってしまったのなら、もう韓国でウミガメの 科学読み物を出すのは無理だ」そう思ってその後あきらめていたんです。
それから何年かたって、ウミガメとゴミ問題をテーマにした科学読み物なら刊行したい、といってくれる韓国の出版社が出てきたので、改めてウミガメについて調べているうちに、『ウミガメの自然誌』(東京大学出版会)というウミガメの研究者たちの論文がまとまった本を知りました。
この本を読んで、ウミガメの「温度依存性決定」を初めて知りました。ちょうどその年(2018年)に出た雑誌、「ナショナルジオグラフィック」には、世界最大のサンゴ礁・グレートバリアリーフでアオウミガメの性別を調べた実験が掲載されていて、なんと116対1でメスばかりだったという記事がありました。ウミガメの科学読み物にはこのとこも書きましたが、あくまでもごみ問題が主なテーマです。いつかこのウミガメの温度依存性決定をメインにした本を書きたいと思っていたのですが、この『たった2℃で…』で、温暖化をテーマにどんな動物にするか悩んでいたときに、ウミガメの温度依存性決定のことを思い出したのです。ウミガメは必ず入れないとだめだと。
――――気候変動など、科学的なテーマへの関心や意識は日本と韓国で違うのでしょうか?
PM 2.5の問題など、環境の問題がマスコミなどで取り上げられることは韓国の方が多いかもしれませんが、子どもたちの関心や、出版物の科学的なテーマへの関心は日本と韓国でさほど大きな違いはないように思います。
けれど、韓国では日本のような、学校や図書館でしかほとんど読まれない学校図書館向けというジャンルはありません。日本では、元々、柳生弦一郎さん、堀内誠一さんらの作品など、すぐれた科学絵本がたくさん出ていました。韓国でもこれらの絵本は今もよく読まれています。
ところが日本では2002年頃から以前の「ゆとり教育」から「確かな学力」へと変わり、生徒が主体的に学習に取組むことをめざした「総合的学習の時間」が始まります。すると、児童書の世界でも一般家庭向けよりも、総合的学習の時間に使われるような、学校図書館向けの「科学読み物らしいもの」や「写真科学絵本」の方が、図書館向けの本作りで価格が多少高くても売れるとされ、そういった企画しか出版されにくくなっていきました。
ぼくが日本でデビューした2007年頃は、本屋さんで手にとりやすい、芸術性やストーリー性のある科学絵本の企画をいくら日本の出版社に提案しても、なかなか認めてもらえませんでした。「学校図書館向けにすれば出せるけど」とよく言われました。それはぼくが日本ではなく、韓国の出版社に目をむけるきっかけにもなりました。
日本にも科学分野でたくさんの熱心な研究者がいますが、なぜ科学絵本はあまり多く出版されていないのか、その思いが最初この本を書くきっかけにもなりました。
今はまた日本でも少しずつ芸術性やストーリー性のある科学絵本が出版されるようになってきて、うれしく思っています。
――――科学絵本だからできることは、なんでしょうか?
科学的な正確さはしっかり詰めていく必要がありますが、大切なのは、読み終わった後に「情」が残ることだと思っています。「ウミガメがかわいそう。なんとかしなきゃ」と。
科学知識絵本だけど、絵がきれいでストーリーが楽しくてはらはらするような、ストーリー性と芸術性を兼ね備えた科学知識絵本が自分にとって理想なんです。それには、やっぱり芸術の力が必要なんですね。芸術の力が合わさって伝えたいことが心にストンと落ちるように持っていきたいんです。
この本では、絵を描いてくださるチョン・ジンギョンさんに科学的な知識が伝わるように、最初はひとつの生き物についてだけでも原稿をA4に1~2枚びっしりになるくらい書きました。それを読んでもらってラフにしてもらい、そこから文章だけを何度も何度も削っていきました。そして、最終的に4行から多くても6行くらいにまで削りました。それは、絵で内容が伝わる、絵で訴えるものにしたかったからなんです。
韓国でもこの本が出た時、1年生向けにこの本について講演してほしいと言われて、最初は難しいかなと思ったんですが、そのうち幼稚園まで入れたイベントでも頼まれるようになりました。講演の内容はちょっと分かりやすくしましたけど、小さな子どもたちにも大切なことが伝わる絵本になったように思います。
――――「これ以上、地球の気温を上げないために、私たちにどんなことができるのか、危機感を感じているが、どうしたらいいのかわからない」そんな感想を多くいただいています。
温暖化を止めるために、わたしたちにどんなことができるでしょうか。子どもたちへのメッセージをお願いします。
講演でもこういった質問をされることがよくあって、じつは一番困る質問なんです。伝えたいことは本の中で表現しているのですが、あえてそれでも子どもたちに言うならば、大人にまかせてはいけないということです。
こんなに地球が大変なのに、戦争は止むことがなく、一番影響力があり、二酸化炭素の排出量も多いアメリカが地球温暖化対策の国際ルールであるパリ協定からも抜けようとしています。
大人がいうことをそのままにするのじゃなくて、君たちがこの本を読んで感じたことを大人に言って、むしろ大人の教育をしてほしい。せめて大人の一人としてぼくができることは、温暖化の現実を絵本で見せて、きみたちが大人になる時代はこうなってますと、はっきり伝えてあげることだけです。
だから子どもたちには、温暖化はよそごとじゃなくて、自分ごととして今から考えておいてほしいのです。大人になってからじゃなくて、今から自分たちの生きる世の中を頭に入れて生きて、ああしたらいい、こうしたらいい、とみんなで考えて、自分ごととして捉えていってほしいというのが、この本に込めた最大のメッセージですね。
――――ありがとうございます。
子どもたちには、温暖化について、ぜひこの本の感想だけにとどめず、自分の生活にむすびつけて、自分なりの考えや答えをさがしてほしいですね。
今日はお話ありがとうございました。
蒲生田では、小学生たちが1954年から、毎日、砂浜を歩き、足跡の数を数えてきた。これは、ウミガメの上陸産卵数のモニタリング調査としては、世界で最も長く継続しているもの。1992年からは子どもたちではなく、地元の住民が行っている。
今年75歳の浜太郎は、年齢が特定可能なウミガメのなかでは世界最高齢。
本作『たった2℃で…』の画家・チョン・ジンギョンさんからも、日本の読者のみなさんへコメントを頂きました。
ぜひご覧ください。
『たった2℃で…』が日本の読者のみなさんに届くことになり、感謝しています。
この本は、私たちが直面している気候危機を一緒に見てみようという思いで作成しました。
ニュースで流れる光景を見ていると、この危機はもはや遠い未来ではないと感じます。
私たちは豊かに生きているのに、つぎの世代には危機に瀕した地球を譲り渡すようで、たいへん申し訳ない思いです。
このお話が、心をゆっくり、深く動かすきっかけとなってくれればと願っています。
チョン・ジンギョン
<プロフィール>チョン・ジンギョン:絵本『空き工場のギターの音』『脈を取ってみましょうか?』『ねこちゃん、ぼくだよ』『イ・デヨル先生が教えてくれる脳科学と人工知能』『ふたつの顔を持つエネルギー、原子力』『本を作るはなし、聞いてみる?』『アンニョン くねくね』『わたしのミヌおじさん』(以上すべて未邦訳)がある。