2022.06.30

<新刊図書>友だちが現実世界にふみだす勇気をくれる『ぼくは勇者をたすけたい』

ゲームが大好きな今の子供たち。
今日はRPG風のオンラインゲームを題材にした、今月刊行の新刊図書『ぼくは勇者をたすけたい』をご紹介します。

クラスの人気者と仲良くなろうと、オンラインゲーム『ファイナルモンスター』をはじめた小学生のぼく。
休み時間に遊ぶ友だちはいるけれど、クラスでも目立たず、いてもいなくても変わらないように思える自分にも、いつか、命をかけて守りたいと思う、本物の友だちができたらとあこがれています。

はじめたオンラインゲームの中で、ぼくは、おしゃべりでむじゃきな「勇者」と同じパーティーになり、仲良くなっていきます。



ゲームの中で回復技が得意な「少女神官ルナ」として、「勇者」を守りながら、冒険するのが楽しみになったぼく。
現実の世界でも「勇者」となら本物の友達になれるんじゃないか、そんな風に考えるようになります。

けれど、ゲームの中のふとした会話がきっかけで、「勇者」が、同じクラスの女子、松岡さんだったことがわかります。
一方の松岡さんは、ゲームの中のぼく「神官ルナ」を大人の女性だと勘違いしている様子。
ぼくは自分の正体が告げられないまま、今まで意識してこなかった松岡さんをクラスで見守るようになります。

ゲームの中ではおしゃべりで無邪気な「勇者」の松岡さんが、現実の世界では、人前でうまく話すことができない「吃音」(きつおん)に悩んでいること、ゲームの中だからこそおしゃべりができることを、ぼくは自分の正体を明かせないままに知っていきます……。



オンラインゲームと教室の現実世界を舞台に、小学生ふたりの心の交流を描いた本作。
松岡さんの悩みを知り、松岡さんを助けたいと思うようになったぼくは、少しずつ松岡さんと接点を持ち始め、ふたりはお互いに勇気をもらい、現実の世界で変わっていく一歩をふみだします。
ゲームが大好きな子どもたちにもぜひ、読んでいただきたい作品です。

 152ページ/小学校5・6年生から
(中松まるは 作/めばち 絵)


  著者・中松まるはさんは『ワカンネークエスト』『学校クエスト』でも、ゲームと現実世界が交差する物語を描いています。
ぜひあわせてお読みください。

 『ワカンネークエスト わたしたちのストーリー』中松まるは 作/北沢夕芸 絵
https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494020386 

『学校クエスト─ぼくたちの罪』中松まるは 作/北沢夕芸 絵
https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494019472
ぼくは勇者をたすけたい

単行本図書

ぼくは勇者をたすけたい

中松まるは 作/めばち

現実世界には「本物の友だち」がいないぼく。オンラインゲームで出会ったおしゃべりな「勇者」と、はじめて本当の友だちになれた。でも勇者の正体はまさかの……女子?! 現実世界の彼女は、悩みをかかえていて……。
ゲームでの出会いが、現実世界にふみだす勇気になる、ぼくと彼女の物語。

  • 小学5・6年~
  • 2022年6月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み