単行本図書

ワカンネークエスト わたしたちのストーリー

中松まるは 作/北沢夕芸

加賀美琴(小6)は弟の和樹(小4)に登校前に「あんたなんていなくなればいいのに」と言ってしまった。原因はささいなことだった。お昼の休み時間、運動場に人だかりができて、救急車がだれかを運んでいった。野次馬のクラスメートが「すごかったよなあ。あれ、刺してたよなあ」。授業が終わると美琴は弟のクラスへいった。先生が、ちょっとショッキングなことがあったから、早めにみんなを帰したと言う。美琴は家に急いだ。母によると和樹は「ただいま」も言わず部屋に入ってしまったらしい。どうもようすがおかしい。夕食も食べにこない。部屋から「死ね!死ね!」という大声が聞こえる。ゲームのやりすぎで人が変わってしまったのか? 不安になる両親。刺した犯人はどうなったんだろう? まさか、まさか…。

  • 定価1,650円 (本体1,500円+税10%)
  • 初版:2014年6月20日
  • 判型:四六判/サイズ:19.4×13.4cm
  • 頁数:280頁
  • 小学5・6年~
  • ISBN:978-4-494-02038-6
  • NDC:913

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内容説明

加賀美琴(小6)は弟の和樹(小4)に登校前に「あんたなんていなくなればいいのに」と言ってしまった。原因はささいなことだった。お昼の休み時間、運動場に人だかりができて、救急車がだれかを運んでいった。野次馬のクラスメートが「すごかったよなあ。あれ、刺してたよなあ」。授業が終わると美琴は弟のクラスへいった。先生が、ちょっとショッキングなことがあったから、早めにみんなを帰したと言う。美琴は家に急いだ。母によると和樹は「ただいま」も言わず部屋に入ってしまったらしい。どうもようすがおかしい。夕食も食べにこない。部屋から「死ね!死ね!」という大声が聞こえる。ゲームのやりすぎで人が変わってしまったのか? 不安になる両親。刺した犯人はどうなったんだろう? まさか、まさか…。

読者の声

読者さま

共感できるシーンが沢山ありました!(13歳・女性)

私にも姉がいて、共感できるシーンが沢山ありました!

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推薦のことば

無自覚な先入観への挑戦 2014年8月4日
 暗い色調の風景に立つファンタジーRPGを思わせるキャラクターや、グロテスクな外見のゾンビの絵。この好みが分かれそうな表紙と題名の印象は、内容に対してもある先入観を与えそうです。そのような先入観を強く持った人ほど、この本に考えさせられることは多いかもしれません。
 六年生の美琴は、生意気な弟和樹にいらだっています。でも両親は明るく要領のいい和樹に甘いのです。美琴がつい「あんたなんていなくなればいいのに」と言った日、学校から帰った和樹は、部屋に閉じこもってしまいました。もれ聞こえるのは「死ね」という声。その日学校で起きた不可解な出来事が原因だと思った美琴は、和樹が入りこんでいるらしい自作のオンラインゲームを自分もプレイし、弟とのコンタクトを試みます。けれども両親は、和樹がゲームのせいでおかしくなったのではとうろたえ、美琴の行動も理解できず「弟のことがどうでもいいのか」と責めるばかりです。
 思いこみにとらわれると、出来事の本当の意味や問題の本質が見えなくなります。しかし美琴は一緒にゲームに参加し協力してくれる友だちと、自らの心の中を見つめ直しつつ、一歩一歩真相に近づいていきます。
 自分自身の考え方のくせや偏りに気づくことの難しさを見すえ、それを乗り越える道を模索する、強い挑戦の意志を感じる物語です。

(うちかわ あきこ/児童文学評論家)
内川 朗子

書評

日本児童文学(2014年11・12月号)ブックラック 2014年11月11日
小学図書館ニュース 2014年9月8日 キラリと光るこの8冊
さぴあ「BOOKSコーナー」 2014年9月1日
弟を救い出さなくちゃ!姉は剣士となって冒険の旅に出発した。
 「あんたなんていなくなればいいのに」。弟の和樹とケンカして、つい言ってしまった姉の美琴。その日、学校で和樹のクラスの子が救急車で運ばれるという事件が起きます。学校から帰ってきた和樹は部屋に閉じこもり、いくら声をかけても出てきません。中からは「死ね!死ね!」という弟の声が聞こえます。どうしよう。とにかく和樹と話をしなくちゃ。美琴にあるアイディアが浮かびました。
 弟思いの姉が、ゲームの世界で冒険しながら、おとうとに降りかかった謎に迫ります。一つの出来事によって、それぞれが独りよがりのストーリーを作り、悩み苦しんでしまう。そんな弱さをもつ現代人への警告がこめられた物語。
読売新聞(夕刊) 2014年8月23日 読みました
弟を捜しにゲームの世界へ
辻井倫太郎(ヨミウリ・ジュニアプレス記者)
日本農業新聞 2014年7月19日
最初から最後まで、不思議な魅力がたっぷり。でも、ゲームの世界と現実を行ったり来たりするうちに、何が大切なのか、どう考え行動すべきなのかがわかってきます。
ベルマーク新聞 2014年7月10日
藤田のぼる

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