2020.07.21

『みどりのほし』画家・長谷川義史さん

小さな発見をきっかけにさまざまな「みどりのほし」を見つけ、自由に想像を広げていく話題の新刊絵本『みどりのほし』
画家の長谷川義史さんに、この絵本について言葉をお寄せいただきました。
こちらの林木林さんの記事とあわせてご覧ください。


『みどりのほし』著者・林木林さん





――この絵本につながった林木林さんの詩は、2011年「こどもの詩 周南賞」作詩部門優秀賞受賞作(*1)ですが、そのとき選考委員だった長谷川さんはこの詩をみて、どのように感じられましたか。


 そのときにはもちろん絵本のことは考えていなくて、純粋に詩として読みました。青緑や黄緑、深い緑……さわやかで、みずみずしい、いろいろな緑色が次々に頭にうかび、野菜や果物のかわいい星の形をしたヘタも、ビジュアルとしてはっきり見えてきました。ですから、当時たくさん読んだ詩の中でも、よく覚えています。

 ひと粒ひと粒の小さなかわいい星。それがこの短い詩の中で大きな地球(ほし)とつながっている。それがいいなあと思います。
 詩を読んでいて、「ほんまや。そういえば野菜のヘタって、星の形してる!」と、その発見に感心しました。




――絵本では、ページをめくるたびに大胆に変わる長谷川さんの絵によって、さらにイメージが広がるのを感じました。
シンプルでありながら表情豊かな男の子に自然と心がひきつけられます。

今回の絵本は、物語の絵本とは、また違った絵の表現をされているように感じたのですが、絵を描くとき、大切にしたことなどを教えてください。




 この絵本では、具体的に男の子が出合うものとイメージの世界が混じり合って出てきます。具象によりすぎると説明的になって想像の広がりをなくしてしまうし、抽象になりすぎると1冊の絵本の流れがわからなくなってしまう。絵本の展開とイメージの世界、両方を捉えられる着地点を見つけるが難しかった。

 この絵本に出てくる「ぼく」は、ある特定の「ぼく」ではなく、みんなの中にある「ぼく」。だから今回僕は、「ぼく」を白くぬいた描き方にしたんだと思います。そういうことを頭で考えて決めたわけではなく、「これだ!」という感覚をつかまえられるまで、とにかく何枚も何枚も描きました。


――特に難しかった場面や、気に入っている場面はありますか?





 青もみじは何度も見たことがあって「きれいやなあ」と思っていましたが、これまで描いたことはありませんでした。あの光が透けて見えるような青もみじをどう表現するか……描きながら探り、この絵本で初めて絵にしました。

 特に気に入っているのは、ともだちがきて「そらに だきついた」という場面。他の場面もそうですが、今回、バックの色をぬっていき、「ぼく」やともだちを白くぬいていく、という描き方をしました。多めの水で溶いたアクリルガッシュでまわりを描いていくのですが、すぐには乾かない。でも、乾いてみないと青や緑の色味がどうなるか、グラデーションがうまくいくか、わからない。紙、水、絵の具……それぞれがどんな効果をうむか、計画的に描きながらも、偶然性によるところもたくさんあります。それがおもしろくもあり、難しいところです。


――読者のみなさんへ一言お願いします。


 この地球(ほし)には、たくさんのものが共存しています。自然の中にある形はとてもかわいくって、それを見逃していることもきっとある。家の中や冷蔵庫の中にも、星があるかもしれません。この絵本を読んだあと、ぜひ、身近なところからいろいろなことを発見して楽しんでみてください。

――ありがとうございました。









*1:「こどもの詩 周南賞」作詞部門優秀賞を受賞した詩「みどりのほし」は、その後、谷川賢作さんによる曲がついた童謡として発表されています。絵本のうしろ見返しに、この詩が楽譜とともに掲載されています。




みどりのほし

童心社の絵本

みどりのほし

林 木林 作/長谷川 義史

なんだかつまんない日、ぼくはふと、テーブルの夏みかんをみる。「あっ、なつみかんのてっぺんに、みどりのほし、みぃつけた」やさいにも花にもみつけた、みどりのほし、ほし、ほし! 葉っぱのながれぼしを追いかけて走ったぼくは、草の上で大の字になってともだちと手をつなぐ。ぼくたちはみんなほしのこども…。林木林さんのみずみずしい言葉と、長谷川義史さんののびやかな絵で描かれる、小さな発見から大きく広がる心の世界。

  • 3歳~
  • 2020年7月10日初版
  • 定価1,650円 (本体1,500円+税10%)
  • 立ち読み