コラム
<連載>ふたりの母が子どもを見つめ、愛し、描いた『おふろでちゃぷちゃぷ』

本作は、日本一の絵本『いないいないばあ』(※1)と同じく「松谷みよ子あかちゃんの本」シリーズの1作です。
著者の松谷みよ子さんは、あかちゃん向けの絵本がほとんどなかった時代に子育てを経験しました。
その中で「あかちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を」という思いで『いないいないばあ』を作り出していきました。
こうしてはじまった「松谷みよ子あかちゃんの本」シリーズの第8作として、『おふろでちゃぷちゃぷ』は1970年に刊行されます。
『おふろでちゃぷちゃぷ』の創作のはじまりを、松谷みよ子さんはこう思い返しています。
「おふろは好きなあかちゃんときらいなあかちゃんがある。けれど、きらいな子も自然におふろが好きになるような、生のよろこびにあふれた本がつくりたかった。
一枚一枚ぬいではだかんぼになること、おふろの中で水をちゃぷちゃぷさせ、せっけんをぶくぶくさせること、それはどの子にも共通の、原始的ともいえるよろこびではあるまいか」(※2)
「清潔ですべすべして、むちむちしたはだかのあかちゃん」(※3)を描ける画家として松谷さんの頭に浮かんだのが、いわさきちひろさんでした。
ともに子育てを経験した母同士でもある松谷さんといわさきさんは、原画を並べて討論を重ねながら、本作を作り上げていきました。
それから半世紀。おふろが「いいとこ」だとあかちゃんに伝える絵本として、本作は読みつがれてきました。
今日もどこかのお家から「あたま あらって きゅーぴーさん」という声とあかちゃんの笑い声が聞こえてくるようです。
※1 『いないいないばあ』は累計発行部数682万部で日本で一番発行部数の多い絵本です(トーハン「ミリオンぶっく2020」調べ)。
※2、3とも童心社定期刊行物「母のひろば」74号(1970.7.15)より
(松谷みよ子・ぶん いわさきちひろ・え)
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おふろでちゃぷちゃぷ
あひるちゃん どこいくの
いいとこ いいとこ
あれ? タオルをもった
ねえ どこいくの?
いいとこ いいとこ
せっけんとタオルを持ったあひるちゃんが向かった「いいとこ」は、おふろでした!
はやく おいでー
いっとうしょうは だあれ
あひるちゃんの言葉に、いそいで服をぬいでいく男の子。ふたりいっしょに、楽しいおふろの時間です。
最後は、
あたま あらって きゅーぴーさん
おふろに入る楽しさをあかちゃんにやさしく伝えてくれる本作。画家いわさきちひろさんによって、おふろに入る男の子が愛らしくいきいきと描かれています。
「この本でおふろが大好きになりました!」
読者の方からそんな感想を多くいただいている、190万部をこえるロングセラーあかちゃん絵本です。
ごはんにおふろに寝かしつけにと、お父さんお母さんにとってあわただしい夜の時間に、笑顔がふえる1冊です。- 0・1歳~
- 1970年5月5日初版
- 定価880円 (本体800円+税10%)
- 立ち読み
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いないいないばあ
日本の絵本ではじめて! 累計700万部を突破
1967年の刊行から、半世紀あまり。
2020年には日本の絵本で初めて700万部を突破し、現在757万部を超えるロングセラー絵本となっています。(※1)。
世代を超えて読みつがれる、「人生で初めて出会う一冊」です。
※1…株式会社トーハン発行「ミリオンぶっく 2025」調べ
あかちゃんに語りかける言葉
あかちゃんと目があう絵
「いないいないばあ にゃあにゃが ほらほら いないいない……」
『いないいないばあ』の文章は、作者の松谷みよ子さんが子育ての中でわが子に語りかけていた言葉がもとになっています。
画家の瀬川康男さんは、あかちゃんと向き合い試作を重ねました。
「ばあ」の場面の動物たちは、あかちゃんと目があうように描かれています。
あかちゃんと一緒に読むと、言葉と絵がひとつになり、臨場感をもっておひざの上のあかちゃんに伝わります。- 0・1歳~
- 1967年4月15日初版
- 定価880円 (本体800円+税10%)
- 立ち読み
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松谷みよ子 あかちゃんの本
日本で初めてのあかちゃん絵本として出版されて40年以上、世代を超えて読みつがれ、たくさんのあかちゃんとおかあさんを笑顔にしてきたロングセラー絵本シリーズ。『いないいないばあ』『いいおかお』他、全9巻の美麗ケース付き。
- 0・1歳~
- 初版
- 揃定価7,920円 (本体7,200円+税10%)
- 立ち読み