だいすき絵童話

かせいじんのおねがい

いとうひろし

《うそをついたことのある、すべての地球人へ》

ともだちの家からかえるとちゅう、ぼくはおじさんにこえをかけられた。「おじさんを、かせいにかえしてもらいたいんだ」。おじさんは火星人だという。いかにもあやしい。でも、おじさんの話をくわしくきいてみると……。
人をまるまる信じてうそをつけない火星人と、だましたりあらそったりしてばかりの地球人の、ちょっぴりふしぎな心あたたまる物語。

  • 全国学校図書館協議会選定
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 初版:2021年10月15日
  • 判型:A5変型判/サイズ:20.1×15.1cm
  • 頁数:71頁
  • 小学1・2年~
  • ISBN:978-4-494-02074-4
  • NDC:913

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内容説明

《うそをついたことのある、すべての地球人へ》

ともだちの家からかえるとちゅう、ぼくはおじさんにこえをかけられた。「おじさんを、かせいにかえしてもらいたいんだ」。おじさんは火星人だという。いかにもあやしい。でも、おじさんの話をくわしくきいてみると……。
人をまるまる信じてうそをつけない火星人と、だましたりあらそったりしてばかりの地球人の、ちょっぴりふしぎな心あたたまる物語。

読者の声

読者さま

若者やこどもがかせいじんのようになってほしいですね。(66歳・女性)

今の世の中はうそをつく大人が多いのでかせいじんはすごいなぁ…
若者やこどもがかせいじんのようになってほしいですね。
読者さま

「へーなるほど!!おもしろかった」と言っておりました。(34歳・女性)

9才になる息子が読みました。読み終えた後、「へーなるほど!!おもしろかった」と言っておりました。

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書評

まるまる信じてみること 母のひろば 690号(2021年11月15日発行)
 ちょっと想像してみよう……みんながお互いを信じ合って生きていて、だまし合ったり争ったりしない人たちのこと、そういう人たちで支え合っている社会のこと。「そんな社会はないよ」って言ってしまいそうになる。でも、子どもの頃は「そういうのがいいなあ」となんとなく思っていた気がする。目の前にいる子どもにはそういう人になってほしいし、これから子どもたちが生きる社会はそうあってほしいと心の奥では願っている。その思いが、この本の中では火星人として現れ、火星の生き方として描かれている。
 「ぼく」が町で偶然出会ったおじさんは、実は修行のために地球にやってきた火星人だと告げる。火星人はお互いを信じて仲良く暮らしているが、どうやら修行をするらしく、最高の修行というのがだまし合いや争いが蔓延(まんえん)している地球で地球人として687日暮らすこと、その上でそんな社会に染まらずに火星に戻ったら元通り信じ合って生きることだという。「もともと なにもしらないのと、だましたりあらそったりをしってて、そうしないのとはずいぶんちがう」ということらしい。これはなかなかむずかしい。特にだまし合いや争いが絶えないことを知っていて「そんなもんだよ」と諦めがちな大人にとっては、子ども以上に心に刺さる、いや、刺さらねばならない言葉だ。身近でも起こっているだまし合いや争いに気づき始めた子どもたちだけでなく、それに慣れてしまった大人たちが向き合うべき「ほんとうの願い」である。火星人のおじさんの願いとは、子どもであれ大人であれ、おじさんが話す火星人みたいな生き方があることを信じてくれることなのだ。そして、その願いはそんな生き方に「しびれる」ひとりの青年によってかなえられる。それで、おじさんは火星に帰っていくことができただろうか。結末は、この本を読んでみてのお楽しみ。
 「ただの理想だよ」って跳ねのけるのではなく、これからを生きていく子どもの心に立ち戻って信じること、信じて願うこと、そんな現実を超えた大切なことを形にできるのが子どもの本の力だと思う。ただの理想でもなんでもなく、この本の中にはお互いを信じ合う火星人がいて、お互いに支え合って生きる火星という場所がちゃんとあるのだから。この本は子どもに与えて教えるのではなく、子どもといっしょに、もう一度「子ども」になって大人にも読んでほしい本である。読んで、火星人の願いを、地球に生きる人間として考えてほしい。決して声高ではない、暖かさと柔らかさと面白さを抱えたお話と絵が、そんな読み方を支えてくれる。
森下みさ子/児童文化研究者、白百合女子大学教授

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