刊行の言葉

 アジア・太平洋戦争の終結から65年が過ぎました。それでもなお、紛争の火種はいたるところにあり、それらは先の戦争が積み残した問題が原因となっているものも多くあります。

 一方、近隣の国同士の人びとの交流は様ざまな形で広がっており、互いに手をつなごうとする動きは確実に進んでいます。

 この〝絵本シリーズ〟を創るために続けられた日本、中国、韓国の絵本作家たちや出版社同士の交流は、6年を数えます。これは国の違いを超えた、相互理解と痛みの共有への努力の歴史です。そして、三か国共同出版(それぞれの国で、それぞれの言語で、12冊の絵本を刊行しあう)という絵本史上初めての試みを成功させるための冒険の歴史でもあります。

 平和のために立ち上がった三か国12人の絵本作家たちの熱い思いは、強固な「友情と共感」、そして「希望への連帯」の結びつきを作りました。

 童心社は「日・中・韓 平和絵本」を世界に向けて発信していきます。日本、中国、韓国のメッセージが、世界中の子どもたちに届き、平和の波を起こすことを願って。

童心社編集部 2011年4月

日・中・韓 平和絵本