春姫という名前の赤ちゃん
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春姫は43歳。でも赤ん坊のようにおむつをつけて横たわり、おかあさんにお世話してもらって暮らしています。徴用されたお父さんを探すため、朝鮮から広島にやってきたお母さんのおなかの中で、原爆の放射能を浴びたのです。戦争が終わって春に生まれた赤ちゃんは春姫(チュニィ)と名付けられますが、放射能の影響で大きくなりません。そんな悲しい物語を3年生の女の子、由美ちゃんの目をとおして描きます。
- 定価2,750円 (本体2,500円+税10%)
- 初版:2017年3月10日
- 判型:B5変形ワイド判/サイズ:25.1×25.6cm
- 頁数:36頁
- 小学3・4年~
- ISBN:978-4-494-01971-7
- NDC:929
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内容説明
春姫は43歳。でも赤ん坊のようにおむつをつけて横たわり、おかあさんにお世話してもらって暮らしています。徴用されたお父さんを探すため、朝鮮から広島にやってきたお母さんのおなかの中で、原爆の放射能を浴びたのです。戦争が終わって春に生まれた赤ちゃんは春姫(チュニィ)と名付けられますが、放射能の影響で大きくなりません。そんな悲しい物語を3年生の女の子、由美ちゃんの目をとおして描きます。
書評
- 1945年の広島で、母のお腹にいた「春姫」(チュニィ)に一体何があったのでしょうか。(母のひろば635号) 2017年5月9日
- 海辺の町に引っ越してきた由美ちゃんは、 通学路の小屋に住むおばあさんの歌に心ひかれます。おばあさんはいつもおむつを洗濯しながら歌を歌います。母のお腹の中で被ばくして、43歳の今でもおむつをつけたままくらすしかない娘の「春姫」(チュニィ)に聞かせる故郷の歌です。
在日コリアンのおばあさんと少女の心の交流を描くこの絵本は、「日・中・韓平和絵本」シリーズの1冊です。植民地時代と戦争、被ばくといった近代史の深い傷跡を抱えたおばあさんと春姫(チュニィ)の生涯は、戦争と原爆の被害と怖さを物語っています。幼い由美ちゃんの目線で追う中に、歌のメロディに乗せられた和解と共感への祈りが感じられます。
原作は、在日童話作家ピョン・キジャさんの童話です。『こいぬのうんち』(平凡社)でおなじみのチョン・スンガクさんが絵を描きました。チョンさんは、資料調査、日本現地でのスケッチなど、納得のいく絵本のために長い時間をかけました。墨のタフな線はシンプルで淡々としていますが、深い悲しみがにじみ出ています。画面を彩る点々は、優しい歌声、救急車の音、そして、原爆の爆発音まで、数々の「音」を生々しく伝えています。最後の場面、異国の歌をリコーダーで練習する少女たちの姿に平和絵本の願いと希望をみるようです。同時に、そこが白黒になっているのは、未だに癒されない被ばく者の厳しい現実を語っているようで、長い余韻が残ります。 - 朴 鍾振(パク ジョンジン)/仁荷大学人文社会科学研究所研究員
- 教育新聞 2017年4月3日
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