がっこうかっぱの生まれた日
かっぱは人間よりもずっと長生きだ。池にも何百年もすむことになる。おれは、あちこちさがしていちばん気に入ったこの池をすみかに決めた。近くに村があるから、よく子どもたちがのぞきにくる。
ある日、おれは池に落ちた女の子を助けた。女の子の名前は、ちよ。家族とはなれてひとり、この村に疎開してきたという。いまこの国では戦争をしていて、大きな町には爆弾が落とされているらしい。ちよは学校のことをいっぱい話してくれた。ちよは、いっしょに学校にいこうと言ってくれた。学校にも池があるらしい。ところが、雪が舞う季節になって、ちよはぷっつり姿を見せなくなって……。
- 全国学校図書館協議会選定
- 定価1,320円 (本体1,200円+税10%)
- 初版:2023年2月1日
- 判型:A5判/サイズ:21.6×15.4cm
- 頁数:95頁
- 小学1・2年~
- ISBN:978-4-494-02079-9
- NDC:913
内容説明
かっぱは人間よりもずっと長生きだ。池にも何百年もすむことになる。おれは、あちこちさがしていちばん気に入ったこの池をすみかに決めた。近くに村があるから、よく子どもたちがのぞきにくる。
ある日、おれは池に落ちた女の子を助けた。女の子の名前は、ちよ。家族とはなれてひとり、この村に疎開してきたという。いまこの国では戦争をしていて、大きな町には爆弾が落とされているらしい。ちよは学校のことをいっぱい話してくれた。ちよは、いっしょに学校にいこうと言ってくれた。学校にも池があるらしい。ところが、雪が舞う季節になって、ちよはぷっつり姿を見せなくなって……。
読者の声
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子供なりにメッセージを受けとってくれていました。(39歳・女性)
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戦争のある現実を子供にどのように伝えるか迷っている時に、本を手にとりました。カッパや学校生活などの話に始まり、あっという間にちよが変化していく様子にはショックもあったようですが、子供なりにメッセージを受けとってくれていました。
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わたしの気持ちを代弁してくれる内容でした。(60歳・女性)
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孫の小学生は、かっぱに興味を持っていてかっぱが主人公の本を探していたらこの本に出会いました。
p.52の「がまんしなくていいんだ。おまえは子どもなんだから、なきたいときになけばいい」とp.84の「しあわせになることをねがって見ることを、見まもるっていうのよ」はその通りだと思います。わたしの気持ちを代弁してくれる内容でした。
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書評
- 時間の流れを感じた一冊 母のひろば706号(2023年3月15日発行)
- 『がっこうかっぱのイケノオイ』『がっこうかっぱのおひっこし』に続く、「がっこうかっぱ」シリーズ3冊目は、日本がたどってきた時間の流れを感じるお話になっていた。
前の2冊とは違い、今回は、小がっぱが住む池のまわりだけでお話が展開する。それなのに読者は、長くて重い時間の旅をすることになるのだ。そこには未だに繰り返される人間の愚かな過ちがあり、過去の人々がくぐり抜けてきた悲しさが伝わってくる。読んだ子どもたちも、その場面では胸がしめつけられることだろう。
人間の過ちに、心をかき乱された小がっぱは長いねむりにつく。そして目覚めたとき、驚いてこう言うのだ。「がっこうにいきたいいきたいと思ってたら、がっこうの方からきてくれたんだ!」私は思わず、その小さな体をギュッと抱きしめたくなった。願いがかなったことを素直に喜ぶ、純真な子どもの姿と重なったからだ。小がっぱの時間はまた動き出す。最後に幸せな再会があり、私は満ち足りた気持ちでパタンと本を閉じた。
ああ、おもしろかった。なにしろ「かっぱ」はいい。古いけど新しく、謎めいて怪しくて、なのにどこか身近な存在だ。読んだ子どもたちはまた、次のがっこうかっぱのお話を心待ちにすることだろう。 - 蓼内明子/児童文学作家
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