童心社のおはなしえほん

きつねみちは、天のみち

きつねみちは、天のみち

立ち読み

あまん きみこ 作/松成 真理子

夏のにわか雨の中、家へといそいでいたともこは、きゅうに雨のすきまのようなほそながーい道に出ます。その道を、「やんこら!」「どっこい!」というかけ声とともに、きつねたちがすべりだいをはこんできました。よろよろするきつねたちを見かねて、ともこがついてつだってはこんでいくと、ついたのは「きつね小学校」でした。そこで人間が交ざっているとばれてしまいますが……。
楽しくて不思議な時間を描いた愛情あふれる作品。

  • 定価1,540円 (本体1,400円+税)
  • 初版:2016年9月15日
  • 判型:B5変型判/サイズ:20.7×22.2cm
  • 頁数:41頁
  • 4・5歳~
  • ISBN:978-4-494-01623-5
  • NDC:913

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書評

日常と異世界のあわい(母のひろば629号) 2016年10月25日
 あまんきみこの世界にはいつも不思議があります。けれどそれは例えば『指輪物語』や『ゲド戦記』のように異世界で起こるわけではありません。不思議はいつも普通に暮らす子どもたちのすぐ隣で生まれます。

 『きつねみちは、天のみち』では、ともこがにわか雨の中を走っている時に起こります。赤いポストの前をまがると、ともこの周りの雨は止むのですが、2メートルほど前には激しく降っています。後ろもそうです。ともこのいる場所だけに雨が降っていない道ができます。そこにこぎつねたちがなにやら大きな荷物を抱えてやってきて……。

 実はともこは友だちを喜ばそうと、約束もせずにたずねていったのに、相手は留守。そんながっかりした気持ちの隙間に不思議は生まれ、そこで楽しい時間が過ぎ、戻ってくると、幸せな気持ちに包まれるのです。

 この隙間、普通に暮らす子どもたちのすぐ隣とは、日常と異世界のあわいです。ほんの少しさみしかったり、悲しかったり、がっかりしたりしている子どもを、あまんはこのあわいに優しく誘い込み、気持ち良く深呼吸をさせてくれます。子どもにはそんな時間、そんな空間が必要だと、あまんは教えてくれます。

 ともこはこぎつねたちとどんな時間を過ごすのかな? ぜひ読んでみてください。
ひこ・田中/児童文学作家
MOE 2017年3月号
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