おばけ・行事えほん

せつぶんのおに

常光徹 文/伊藤秀男

むかし。ふくはきりょうよしで、はたらきもの。あるとき、ととさまが「うらやまの力石を、にわまでもってきたものを、ふくのむこにとる」とふだをたてた。
それを山おくのおにがききつけて、ズッシーンと力石をはこんできた。
ふくをさらわれたととさまとかかさまに、となりのいえのあにさんが声をかけた。
「ふくはわしがつれもどしてくる」。あにさんは山おくへはいり、ようやくおにのいわやにたどりつくと……。
節分の由来話。

  • 全国学校図書館協議会選定
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 初版:2018年1月1日
  • 判型:B5変型判/サイズ:25×19.2cm
  • 頁数:32頁
  • 4・5歳~
  • ISBN:978-4-494-01462-0
  • NDC:913

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内容説明

むかし。ふくはきりょうよしで、はたらきもの。あるとき、ととさまが「うらやまの力石を、にわまでもってきたものを、ふくのむこにとる」とふだをたてた。
それを山おくのおにがききつけて、ズッシーンと力石をはこんできた。
ふくをさらわれたととさまとかかさまに、となりのいえのあにさんが声をかけた。
「ふくはわしがつれもどしてくる」。あにさんは山おくへはいり、ようやくおにのいわやにたどりつくと……。
節分の由来話。

書評

鬼はー外! 福はー内!(母のひろば645号) 2018年2月15日
 節分になると、今も日本中の子どもたちが楽しげに豆まきをします。その大豆には、鬼を退ける力があります。そんな豆まきの由来を語る『せつぶんのおに』は、徳島に伝わる昔話をもとにしています。ここに登場する 鬼は村娘の「ふく」を嫁にするためさらっていきます。そこで、村の若者が娘を取り戻そうと山奥の鬼のすみかに向かい、ハラハラする展開が始まります。そして最後には、若者と娘は鬼に追われながらも、話は「鬼は外、 福は内」の由来へとつながります。  立春の前日に当たる節分は、季節の変わり目です。季節の変わり目には、神が訪れますが鬼もやってきます。いわゆる「鬼は外、福は内」の唱え言をして、豆で鬼を退ける節分は、室町時代には行われていた記録が残っています。日本人が旧暦で生活していたころは、正月と節分の時期が近かったこともあり、節分にも年越しの意味を含む行事が多くありました。現在も行われている「年の数だけ豆を食べる」習慣も年取りの名残です。豆を食べることで年齢を重ね、新たな年の健康を願いながら年を越しました。 ちょうど、正月に餅を食べるように、節分に豆を食べたのです。そんな豆を用意する場面も、『せつぶんのおに』で描かれています。恐ろしい鬼を祓う先に新しい日々の幸せを祈る話を、どうぞお楽しみください。
立石展大 (たていし のぶあつ/口承文芸研究者)

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