2025.10.01

『クジラがしんだら』が第1回「NIC書店絵本大賞」を受賞!

このたび絵本『クジラがしんだら』が、書店グループNICリテールズ株式会社主催の第1回「NIC書店絵本大賞」を受賞しました!
全国のグループ書店の書店員の方が投票くださり、このたびの受賞となりました。

投票くださった書店員さんからは、「命から命へ繋がっていく深海世界のお話。沢山の子供たちに触れてほしい作品。」「表紙とタイトルに惹かれた一冊。壮大ないのちの繋がりを感じられます。」といったおすすめの言葉が寄せられました。

受賞にあたり、作者の江口絵理さん、かわさきしゅんいちさん、担当編集者よりコメントが寄せられました。

【江口絵理さん】
栄えある第1回に選んでいただき、ありがとうございます!
絵本の作り手なら誰もが憧れるリブロ絵本大賞と積文館グループ絵本大賞の流れを汲む本賞で、NICリテールズグループ書店各店の書店員のみなさまから推していただけたことに舞い上がっています。
書店の店頭はかけがえのない、人々と本の出会いの場。
受賞を機に、みなさまと『クジラがしんだら』で、その場をよりにぎやかで豊かなものにしていけたらと願っています。

【かわさきしゅんいちさん】
このお話をいただいた時、死の暗い面ではなく、死から生を獲得する深海の宴を描こうと思いました。
子どもたちが循環する死と生のつながりを感覚的に知ったり、日常にある「食べる」という事をより俯瞰的に見られる入り口にもなるよう、くら〜い深海世界をなるべくポップに描きました。
地球のあらゆる場所、宇宙のような暗黒の中ですら、生と死はしたたかに輝いているのです。
この度は素晴らしい賞を本当にありがとうございました。

【担当編集者】
この度はすばらしい賞に選んでいただき、誠にありがとうございました。
作者のお二人、監修の先生と共に重ねてきた思いを、読者の方々に受けとめていただけたことが何よりの喜びです。
クジラの命が、深海の世界で新たな命につながっていく様を描いた本作が、子どもたちの感性を育み、命のあり方になにか気づきをもたらしてくれることを願っております。
選んでくださった書店員の皆さまに、心より感謝申し上げます。

今回の受賞について、くわしくはこちらをご覧ください。
クジラがしんだら

童心社の絵本

クジラがしんだら

江口絵理 文/かわさきしゅんいち 絵/藤原義弘 監修

深海はえさが少なく、生きものが少ない場所です。ところが、ごくまれに巨大な食べ物のかたまりが降ってくる。それが命を終えたクジラです。クジラの体は、長ければ100年にもわたってさまざまな生物の命を支え続けます。
はじめはサメ、コンゴウアナゴなどが肉を食べ、タカアシガニやグソクムシなど小さな生物が続きます。骨だけになると、こんどはホネクイハナムシという骨を食べる生物があらわれ、その後も長期間にわたりクジラは分解されていきます。
このクジラの死骸を中心に形成される特殊な生態系は「鯨骨生物群集」と呼ばれ、近年の研究でその実態が明らかになってきました。

50~100年というのは、とほうもなく長い時間ですが、必ずどこかで終わりは来ます。
鯨骨に生きる生き物たちは、やがて別のすみかと食べ物を探さなくてはいけない。こんなに広い海で、そうつごうよく、沈んだ大きなクジラに出会えるものでしょうか?
しかし、まっくらな宇宙にも星があるように、深い海の底からあてどない旅に出かける生物たちにも、どこかに必ず明かりがあるのです。でなかったら、クジラに集う生きものたちがずっと子孫を残し、命をつなぎ続けることはできなかったはずです。

これは深海という厳しい世界に生きる生物たちの、いっときの大宴会を描いた物語絵本です。
監修は国立研究開発法人海洋研究開発機構の藤原義弘氏。

  • 4・5歳~
  • 2024年9月1日初版
  • 定価1,980円 (本体1,800円+税10%)
  • 立ち読み
  • 在庫僅少