2023.07.13

<連載⑥>やさしいひかりをありがとう『14ひきのおつきみ』

40周年をむかえた「14ひきのシリーズ」
刊行された順にシリーズ作品をご紹介している連載企画、第6回です。

今回は1988年に刊行された『14ひきのおつきみ』です。


おつきみの日、14ひきは手づくりのお月見台を木の上につくっています。
おだんごをおそなえしました。くりのみやどんぐりも。


まっかな夕日がしずんで、夜がやってきました。


山のむこうから、「でた、でた。」まんまるのおつきさん。

自然の恵み、やさしいひかりにありがとう。
14ひきのしずかな夜です。


本作の制作にあたって、いわむらさんは「夕方の観察をした」といいます。
それは、外に出て、夕方の時間を体で感じるということ。
日が暮れていく様子が描かれていますが、それは「太陽を描かずに太陽を描くこと」でした。
絵本の中にもある「夜が広がっていく」ということをいわむらさん自身が強く感じたそうです。

幼いころからおつきみが大好きだったといういわむらさん。
雑木林にくらす14ひきは、おつきさまがなかなか見えないだろうから、とお月見台をつくることを思いついたそうです。
木の上にのぼってスケッチをし、すてきなお月見台のシーンが描かれました。

自然とともに生きる14ひきにとって、たいせつなおつきみです。



ただいま、栃木県のいわむらかずお絵本の丘美術館では、「14ひきのシリーズ」40周年記念展開催中です。
14ひきに会いにぜひお出かけください。
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2990

また、「14ひきのシリーズ」の次に読みたい1冊をプレゼントするTwitterキャンペーンがはじまりました!
こちらもぜひご参加くださいね。
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=3012

(いわむらかずお・さく)
14ひきのおつきみ

14ひきのシリーズ

14ひきのおつきみ

いわむらかずお さく

今夜は十五夜。
14ひきの子どもたちは、おうちのある大きなクヌギの木の上に登り、何かを作っています。

「木の枝 切って、
 ひもでしばって、
 なにつくってる?」

子どもたちが力をあわせて、できあがったのは、みはらしのいいお月見台。

「ずっと ずっと 遠くが見える。
 やっほー、おとうさんたち はやく おいでよ」

まっかな夕日がしずみ、あたりの森一面がもえるような夕焼けです。

夜が広がり、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんたちものぼってきました。
栗の実やどんぐり、おだんごをお供えしたら、山の向こうから、まんまるなお月さまがあらわれました。

 「おつきさん ありがとう、
 たくさんの みのりを ありがとう、
 やさしい ひかりを ありがとう。」

お月見を題材に、自然の恵みへの感謝を描いた人気ロングセラー「14ひきのシリーズ」の第6作。

時間の経過とともに、夕暮れや月の光など、森の中の光と色の変化が繊細に美しく描かれ、その場にいるような森の空気や臨場感が伝わってきます。

お月見台を作るのに、お父さんに代わり中心になってがんばるいっくんやにっくん、小さなくんちゃんをやさしく気遣うさっちゃんの様子など、本作でも、家族1ぴき1ぴきが丁寧に描きこまれ、仕草や表情から14ひきたちの会話が聞こえてくるようです。

  • 3歳~
  • 1988年6月25日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み