2023.06.10

<連載⑤>野ねずみになって青空を見上げる『14ひきのぴくにっく』

ことしおかげさまで40周年をむかえる「14ひきのシリーズ」
1作ずつご紹介する連載企画、第5回です。
今回は、1986年に刊行された『14ひきのぴくにっく』です。


春の朝。天気がいいので野原に出かけることにした14ひき。
おにぎりとすいとうを用意して、出発です。

野原に出ると、大きな青空!
たくさんの花やいきものに出会います。

たんぽぽのはらで食べるお弁当は、格別のおいしさ。


「自然の中に生きるものたちにとっては、春はとてもよい季節。そんな春のよろこびを描きたかった」と作者のいわむらかずおさんは言います。

春をむかえた14ひき、ふだん生活している森をはなれて、野原へ出かけていきます。
森と野原では植物もいきものも異なるため、いわむらさんはじっくりと取材をおこなったそうです。

じつは、この本の表紙をめくった「表見返し」には森の植物、「裏見返し」には野原の植物が描かれているんです。
みなさん、ご存じでしたか?


森の植物がえがかれた「表見返し」


野原の植物がえがかれた「裏見返し」


たんぽぽのわたげが飛んでいくシーンを描くため、地面にはうようにしてたんぽぽを見上げてスケッチしたといういわむらさん。
14ひきが体いっぱいで感じた春を、絵本の中でたくさん発見してくださいね。


(いわむらかずお・さく)
14ひきのぴくにっく

14ひきのシリーズ

14ひきのぴくにっく

いわむらかずお さく

「きょうは なんて いい てんき。
 みんなで、はるの のはらへ でかけよう」
 お弁当と水筒をもって、出発です。

森には、あちこちに、新しい春の命が。
ゼンマイが芽を出し、目を覚ましたアマガエルたちの鳴く声がきこえてきます。
すみれ、やまぶき、ちごゆり、ふでりんどう……花々が咲き、春の訪れを告げています。

14ひきたちは、森をぬけ、つくしの道をあるいて小川をわたり、たんぽぽ野原へ……。

人気ロングセラー「14ひきのシリーズ」の第5作。
森の緑と野原の緑のちがいや、春の光をうけた美しい花々が丹念に描かれています。

見返しには、本作に登場する花の絵と名前が記されています。
14ひきたちと一緒に、春の風、春のにおいを、絵本を開いて、ぜひ感じてみてください。

  • 3歳~
  • 1986年11月15日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み