2022.10.13

<連載・なんの日? 1/2>10/14は「鉄道の日」! 鉄道にまつわる絵本をご紹介します。

10月14日は「鉄道の日」です。
1872年のこの日、日本ではじめて新橋-横浜間の鉄道が開通しました。
さらに今年は鉄道開業150年という大きな節目の年となりました。

今回は鉄道にまつわる絵本をご紹介します。



●小さな機関車の大きな夢『じょうききかんしゃビーコロ』

みなさんは、「B20形」という小さな機関車を知っていますか?
愛称は「ビーコロ」。この絵本の主人公です。


ビーコロは機関車工場で、点検や修理のためにやってきて火を落とした機関車を移動させたり、荷物を運んだり、毎日いっしょうけんめい働いています。


工場の中でしか走れないビーコロは、大きくてりっぱな「デゴイチ」(D51形)や、はやがけの「シロクニ」(C62形)を見て、憧れの気持ちをつのらせます。


「つよく なりたいな。はやく なりたいな。
そうすれば ボクだって、こうじょうの そとに でて、はしれるのにな。」


そんなビーコロの気持ちに応えたのが、機関車の仲間たち。
ビーコロを先頭に、4重連の特別列車を走らせることになったのです!

汽笛を鳴らし、煙を上げ、「シュガタカ シュガタカ」と走る機関車たちは、まるで生きているよう。
個性豊かな仲間にかこまれながら、自分らしく頑張るビーコロ。
ラストシーンで見せる表情は、とても誇らしげです。

本作に登場する「ビーコロ」や「デゴイチ」、「シロクニ」、「義経」などの機関車たちは、京都鉄道博物館で本物が動く姿を見ることができますよ。

(ミノオカ・リョウスケ 作・絵)



●東北へ「希望」を届けた ほんとうのお話『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』

DD51-852号機、通称「デーデ」は、かつて新潟‐郡山を結ぶ磐越西線を走っていましたが、働ける場所が少なくなり、今は山口でセメントを運ぶ仕事をしています。

3月11日、大きな地震が東日本を襲い、大規模な停電が起きました。
その数日後、デーデたちディーゼルきかんしゃが集められたのです。

デーデは、新潟の貨物ターミナル駅から燃料タンク10両を連結して福島の郡山まで走ることになりました。


相棒は、大阪からきたディーゼルきかんしゃ、「ゴク」です。


整備士さん、運転士さん、そしてデーデたちディーゼルきかんしゃ。みんなの思いをのせて、雨の中を夜中の1時に出発しました。

久しぶりに磐越西線を走るデーデは、街の様子から大変なことが起きたのだと感じとります。

難所を乗り越え、ひたすらに郡山をめざすデーデたち。


「ばんだいさーん。ねんりょうを とどけにきたよー。
もうすぐだ。はやく、もっとはやく、はしらなくちゃ」


人々の思いを集めて走るデーデの姿が、「希望」があるからこそ困難を乗り越えていけるのだと語りかけてきます。

(すとうあさえ・文 鈴木まもる・絵)

人を運び、ものを運ぶという鉄道の仕事の魅力、力強さを感じられる絵本2作をご紹介しました。
じょうききかんしゃビーコロ

絵本・こどものひろば

じょうききかんしゃビーコロ

ミノオカ・リョウスケ 作・絵

ビーコロは工場の中だけしか走れない、小さな蒸気機関車。いつか外を思いきり走ってみたいと思いながら、毎日働いている。そんなビーコロのために、仲間の機関車たちが特別すてきな計画を立てました。

紙コップを使ったビーコロのかわいい工作ができました。型紙をダウンロードしてみんなで作ってみよう!
詳しくはこちらをご覧ください。https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1791

  • 4・5歳~
  • 2019年8月26日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み
はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ

絵本・こどものひろば

はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ

すとうあさえ 文/鈴木まもる

3.11の直後、東北に石油や灯油を届けるために、ディーゼル機関車が活躍したのをご存知ですか? 全国から集められたディーゼル機関車たちが、新潟から福島の郡山へと走ったのです。最初に出発したのが、デーデです。途中、雪でスリップし、立ち往生してしまいます。なんとか郡山に着いたときには、予定の時刻を、3時間過ぎていました。それでも、みんな待っていてくれ、とても喜んでくれました。
実話が元になった絵本です。

  • 4・5歳~
  • 2013年11月30日初版
  • 定価1,540円 (本体1,400円+税10%)
  • 立ち読み