季節のおすすめ
2022.04.27
<5月のおすすめ紙しばい>小さな虫たちのいのちの輝き『てんとうむしのテム』

夏を思わせる日差しと暑さの日が増えてきました。
草むらにすむ虫たちの姿と命を美しく描いた、初夏から夏にかけてのおはなし会にぴったりな紙芝居をご紹介します。
夏の夜明けです。
草原で花にとまってねむっていた、
てんとうむしのテムが、目をさましました。
「あーあ、よく ねた。
どれ どれ、 ちょっと、
あさの さんぽに でかけて こよう」
テムが歩いていくと、そこにいたのはいっぴきのアオムシ。
テムはアオムシと一緒にさんぽしようとしますが、
ちょっと 行っては ひとやすみ
ちょっと 行っては ひとやすみ
と、アオムシはゆっくりとしか進みません。
アオムシがあんまりゆっくりなので、テムがひとりで草をおりていくと、
今度はアリの行列に出会います。
「おーい、きみたち
いそがしそうに どこへ行くんだい」
テムがアリたちについて行くと、アリたちがあちこちからどんどん集まってきて、テムはアリたちに取り囲まれてしまいます。
なんとテムは、アリたちに「ごちそう」として、穴に連れて行かれそうになってしまいますが……。
ひとり、朝のさんぽに出かけたテムが、友だちをさがしながら、アオムシやアリ、オケラ、トノサマバッタ、アメンボなど、様々な生き物たちに出会っていきます。
一見、写実的で静かな絵ですが、紙芝居の「ぬき」を生かした物語がドラマティックに展開し、紙芝居にひきつけられます。
最後にはうれしいハッピーエンドが待っています。
作者は昆虫を題材にした作品を多く手がけている得田之久さん。
特徴をとらえた美しい虫たちの絵をぜひご覧ください。
子どもたちに向けて書かれた脚本には、親しみやすい言葉で虫たちの姿がいきいきと描かれています。
小さな虫たちのいのちの輝きが描かれた、人気のロングセラー紙芝居です。
12場面/3歳から
(得田之久 脚本・絵)
紙芝居ベストセレクション 第1集 (全10巻)収録の作品です。
https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494070817