2021.04.10

<いま、読みたい紙しばい>迫力満点の民話で知る行事の由来『なぜ、おふろにしょうぶをいれるの?』

5月5日は「こどもの日」、そして端午(たんご)の節句ですね。
今日は端午の節句に行う「しょうぶ湯」や、こいのぼりの由来を紹介した紙芝居をご紹介します。



「どうしておふろに草を入れているの?」
5月5日の節句の日、たろうがおばあちゃんに聞くと、おばあちゃんが、それは草ではなくショウブとヨモギであること、どうしてお風呂に入れるようになったか、話してくれました。



むかし、長者の家に美しくて、きだてのよい娘がいた。
ある時、りっぱな若者がたずねてきて、みんながおどろいているうち、ふたりはすぐに仲良くなった。


夜になるとたずねてくるようになった若者に、どこから来たかたずねても、
「わしの家は、このずーっと奥のほうじゃ」
これしか言わないという。


しかし、若者がくるようになってから、娘はだんだんと元気がなくなり、やせほそってきました。娘を心配した娘のお母さんは、糸のついた針を娘にわたし、若者のすそに刺すよう教えます。


その夜。
いねむりをはじめた若者の着物のすそに、娘は糸のついた針をさしました。
「ウォー!」


若者は、かみなりのような大声をあげると、山へにげていきました。
翌朝、娘のお母さんが、糸をたどっていくと……。


糸をたどった山奥で、娘のお母さんは、若者の正体が大蛇だと知り、大蛇の子が娘のとりついていること、5月5日の節句の日に、ショウブとヨモギの湯に入れば娘が元気になることを聞きつけ、無事、大蛇から娘を救います。


脚本は民俗学の研究者でもある常光徹さん。物語では最後に、こいのぼりの由来も紹介されます。裏面には、端午の節句についての常光さんの解説もあり、この行事習俗の時代による移り変わりやこいのぼりとの関わりも紹介されています。
画家・伊藤秀男さんの絵が力強く、若者に化けた大蛇の迫力が見事に表現されています。


今年は、こいのぼりだけでなく、ご家庭でショウブやヨモギのお風呂にも挑戦してみてはいかがでしょう?
どうぞ5月5日の前にご家庭で楽しんで演じてみてください。
12場面/3歳から
(常光 徹 脚本・監修/伊藤 秀男 絵)
なぜ、おふろにしょうぶをいれるの?

なぜ?どうして?たのしい行事

なぜ、おふろにしょうぶをいれるの?

常光徹 脚本・監修/伊藤秀男

今日は五月五日。太郎が「どうして? おふろにショウブとヨモギをいれるの?」と、おばあちゃんにたずねました。すると……。

  • 3歳~
  • 2001年9月1日初版
  • 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
  • 立ち読み