新刊紹介
2020.01.14
<連載2/2>工藤直子×あべ弘士最新作!『ちび竜』

地球にあふれるいのちを壮大なスケールで描いた新作絵本、『ちび竜』。
著者のおふたりから届いた言葉をご紹介します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まぶだち・ちび竜 ――工藤直子
わたしは「ひと」に生まれました
だから「ひと」と なかよしで すぐ「友だち」になります
わたしは 「ひと」でない みんなとも 友だちになりたいな と
思っています とり とか ちょうちょう とか カマキリ とかね
わたぐも とか ケヤキ とか そよかぜ ともね
とりわけ わたしは 空想から 生まれた 友だちが ほしかった
とくに「りゅう」と 友だちになりたかった! それも「まぶだち」に!
「まぶだち」って「ほんとうの友だち」という いみなんだよ
というわけで いつも空想しているうちに「ちび竜」がうまれました
ちび竜のことをしった あべ弘士さんが お! いいじゃん! と
ちび竜の「まぶだち」に なってくれて
ちび竜のすがたを いっぱい いっぱい えがいてくれました
そうやって生まれた ちび竜は ちびだったり でかかったり そして かわいくて カッコいい!
みなさんも ちび竜と「まぶだち」に なってほしいなあ
ちび竜と いっぱい あそんでほしいなあ と とても思っています
・・おーい ちび竜 いまどこにいるんだい?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やさしい竜の描き方 ――あべ弘士
知りませんでした。
竜が、雨つぶから生まれてくるなんて。
そしてボウフラと友だちだなんて。
私のアトリエの庭に、バケツやら鉢やたらいやらがあって、その中で水たまりになっていて、蚊が卵を産んで、ボウフラがうじゃうじゃいたんだけど、もしかしてその中に竜の赤ちゃんがいたのかもしれなかったんだ。こんど見つけて、飼育したい。赤ん坊竜がすこし大きくなって、タンポポの綿毛につかまり 空中散歩する。
クモが自分の糸を空中高く飛ばして、それにつかまり遠くへ移動する。だからこの話は正しい。
トンボに飛び方を習う。このトンボはギンヤンマでなくちゃいけない。なぜなら私、一番好きなトンボです。
さて、竜はどんどん大きくなる。
フナに水界のことを、モグラに土界の術を習う。シカと角合戦する。入道雲の上を三段跳びだ。
ますます、どんどん、ずんずん、めきめき巨大化し、とうとう……なんと……。
“地球”を抱いて宇宙空間に浮いているのではありませんか。
私、負けずと絵を描きました。
工藤直子の話は、いつも壮大でやさしい。そうこの巨大な竜も言っている。「いつも きみの心の中に いるよ」とね。
実にやさしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おふたりにとっては久しぶりの共作となった『ちび竜』。
充実した本づくりの時間であったことがうかがえる言葉たちです。
『ちび竜』を読んでいると、生きるってゆかいだ! とわくわくした気持ちになってきます。
ちび竜といっしょに、地球のともだちにたくさん出会ってくださいね。
著者のおふたりから届いた言葉をご紹介します。
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まぶだち・ちび竜 ――工藤直子
わたしは「ひと」に生まれました
だから「ひと」と なかよしで すぐ「友だち」になります
わたしは 「ひと」でない みんなとも 友だちになりたいな と
思っています とり とか ちょうちょう とか カマキリ とかね
わたぐも とか ケヤキ とか そよかぜ ともね
とりわけ わたしは 空想から 生まれた 友だちが ほしかった
とくに「りゅう」と 友だちになりたかった! それも「まぶだち」に!
「まぶだち」って「ほんとうの友だち」という いみなんだよ
というわけで いつも空想しているうちに「ちび竜」がうまれました
ちび竜のことをしった あべ弘士さんが お! いいじゃん! と
ちび竜の「まぶだち」に なってくれて
ちび竜のすがたを いっぱい いっぱい えがいてくれました
そうやって生まれた ちび竜は ちびだったり でかかったり そして かわいくて カッコいい!
みなさんも ちび竜と「まぶだち」に なってほしいなあ
ちび竜と いっぱい あそんでほしいなあ と とても思っています
・・おーい ちび竜 いまどこにいるんだい?
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やさしい竜の描き方 ――あべ弘士
知りませんでした。
竜が、雨つぶから生まれてくるなんて。
そしてボウフラと友だちだなんて。
私のアトリエの庭に、バケツやら鉢やたらいやらがあって、その中で水たまりになっていて、蚊が卵を産んで、ボウフラがうじゃうじゃいたんだけど、もしかしてその中に竜の赤ちゃんがいたのかもしれなかったんだ。こんど見つけて、飼育したい。赤ん坊竜がすこし大きくなって、タンポポの綿毛につかまり 空中散歩する。
クモが自分の糸を空中高く飛ばして、それにつかまり遠くへ移動する。だからこの話は正しい。
トンボに飛び方を習う。このトンボはギンヤンマでなくちゃいけない。なぜなら私、一番好きなトンボです。
さて、竜はどんどん大きくなる。
フナに水界のことを、モグラに土界の術を習う。シカと角合戦する。入道雲の上を三段跳びだ。
ますます、どんどん、ずんずん、めきめき巨大化し、とうとう……なんと……。
“地球”を抱いて宇宙空間に浮いているのではありませんか。
私、負けずと絵を描きました。
工藤直子の話は、いつも壮大でやさしい。そうこの巨大な竜も言っている。「いつも きみの心の中に いるよ」とね。
実にやさしい。
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おふたりにとっては久しぶりの共作となった『ちび竜』。
充実した本づくりの時間であったことがうかがえる言葉たちです。
『ちび竜』を読んでいると、生きるってゆかいだ! とわくわくした気持ちになってきます。
ちび竜といっしょに、地球のともだちにたくさん出会ってくださいね。
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ちび竜
小さなつぶからうまれたちび竜は、水たまりからとびたち、いろいろな生き物に出会う。とんぼからは飛び方を、フナからは「うろこ通信」のやり方を教えてもらい、ほかにもたくさんのともだちに出会って、あそび、風や水や土となかよくなった。どんどんでかくなっていったちび竜は、やがて、光る青い地球を抱いて……。
うたうような工藤直子の言葉と、繊細かつ迫力あるあべ弘士の絵が、地球にあふれるいのちをゆかいに、壮大に描く。
『ちび竜』工藤直子・あべ弘士 著者のことば(2020年1月15日発行「母のひろば」668号)
https://www.doshinsha.co.jp/download_files/000162.pdf- 4・5歳~
- 2019年12月20日初版
- 定価1,870円 (本体1,700円+税10%)
- 立ち読み