2020.01.10

〈新刊絵本〉出会えてよかった!大切な家族『ねこなんていなきゃよかった』

家族で大切に飼っていた猫、ももちゃんと、小学生のわたしとの別れを描いた新刊絵本『ねこなんていなきゃよかった』のご紹介です。

小学生のわたしは、道ばたで見かけた猫をみても、死んでしまった猫、ももちゃんを思い出します。
元気のないわたしに、友だちが元気づけようと声をかけてくれますが、
わたしはつい、こんな風にこたえてしまいます。

「ねこなんて、めんどくさいだけ。
 はじめから、ねこなんていなきゃよかった」

けれど、「ただいま」と家に帰っても、ももちゃんはもう、むかえに出て来てくれません。
ももちゃんのいた部屋には、ももちゃんがご飯をたべていたお皿、いつも座っていたクッション。

お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも、なんだかみんな元気がありません。
きっとみんな、ももちゃんのことを考えているに違いありません。

そして、お母さんの言葉をきっかけに、それぞれがももちゃんとの思い出を語りはじめます……。

文章は、人気作家・村上しいこさん。
愛猫の病気を体験し、その命と向き合おうとしたことが、本作の創作のきっかけになったそうです。

「おかあさんなんて、ひざのうえから
 うごかないから、せんたくもの たたむのに、
 いちじかんも かかったわ。

 おかげで、いつも
 あったかかった。」



本作に登場するエピソードには、村上さんと愛猫との実際の思い出が、そこここに込められています。
絵はこちらも人気画家のささめやゆきさん。
ささめやさんも猫好きで知られ、作中の猫の表情や仕草にも、猫への愛があふれています。

刊行後、いただいた感想の声をご紹介します。



◆みんなに愛されたねこのももちゃんの思い出がいっぱいつまっていて、
きゅーん…。
私、猫を飼ったこともないけど、さほど猫好きとも言えないけど、
ささめやゆきさんの絵から猫の匂いがむんむん伝わり、一緒にぼーぼー泣いた。
(utanoyouni様)

◆ささめやゆきさんの絵が素晴らしい絵本「ねこなんていなきゃよかった」を年始イッパツ読んでしまい涙してます。
いのちの愛おしさ、あたたかさ。
ねこを愛する人にだけでなく、全ての人たちへ。
(書店様)



悲しみを受け入れ、いつか、出会えてよかったと思ってくれたらという、著者の思いが込められた絵本です。
小さな家族を愛する方に、ぜひ読んで頂きたい一冊です。

この作品について、作者・村上しいこさんのお話を伺いました。あわせてご覧ください。
▼インタビュー『ねこなんていなきゃよかった』著者・村上しいこさん
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1815



(村上しいこ 作/ささめやゆき 絵)

ねこなんて いなきゃ よかった

童心社のおはなしえほん

ねこなんて いなきゃ よかった

村上しいこ 作/ささめやゆき

ねこのももちゃんが死んだ。友だちがやさしくしんぱいしてくれるので、ついつよがり「はじめから、ねこなんていなきゃよかった」といってしまった。でも家にかえると、ももちゃんはもういない。みんながくらいかおをしていたら、かあさんがいった。「かなしいのはあたりまえ。みんな、なきましょ」すると、ももちゃんの思い出が次々よみがえってきて……
かわいがっていた猫の死をきちんと受け止め、悼むことの大切さを描く絵本。

  • 小学1・2年~
  • 2019年12月23日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み