2019.12.29

<ニュース>『「へてか へねかめ」おふろでね』出版を祝う会が行われました。

12月8日、絵本『「へてか へねかめ」おふろでね』の出版を祝う会が催されました。
10月に刊行された本作は、児童文学作家・宮川ひろさんからの「さいごのおくりもの」になりました。

会場は、絵本のもとになった「へてか へねかめ……」というふしぎな唱えことばを宮川さんに教えてくださった、故・村松和子さんの息子さんである村松哲史さんがオーナーシェフをつとめる東京市ヶ谷のレストラン、「葡萄の木」。
12月29日の一周忌を前に、生前交流のあった児童文学に関わるさまざまな方が集まり、宮川ひろさんを偲ぶとともに、できあがったばかりの『「へてか へねかめ」おふろでね』について語り合いました。
みなさまからいただいた言葉を、ほんの一部ですが、ご紹介します。

◎この作品は、ましませつこさんの絵で、新しい絵本、美しい絵本、あったかい絵本になったと思いました。ひろさんはどれだけ喜んでおられることでしょう。この絵本では、主人公のそうたの現実は丸い世界で描かれていて、そこから「へてか へねかめ……」を唱えると、絵の世界が果てしなく広がっていきます。その迫力に胸を打たれました。帯に「からだも心もぽっかぽか」と書いてありますけど、本当にそういう想いがしました。この絵本を読み終わったとき、「ひろさん、ありがとうございます。ましまさん、ありがとうございます。」って、つぶやいてしまいました。ひろさん、よかったですね。 
--あまんきみこさん(児童文学作家)

◎この絵本は、平和の象徴とも言えると思います。この絵本を読む時間は、ことばがこんなふうに大人と子どもで共有できる社会でなければいけないという、ひろさんの想いをあらためて確かめることのできた時間でした。 
--藤田のぼるさん(児童文学評論家・作家)

◎「へてか へねかめ」は意味がないんだけれど、なんとなく温かくておもしろい。宮川さんがずっと心の中でころがしておられたというのがいいなぁ、という感じがしています。 
--内田麟太郎さん(詩人・絵詞作家)


本作の絵を描いたましませつこさんは、絵本制作の秘話とともに、絵にこめた想いを語ってくださいました。

◎宮川ひろさんのきれいな文章と、ちょっとおかしな「へてか へねかめ」ということばと……それを私の力で絵にできるだろうかとはじめは思いました。でも、孫に「へてか へねかめ」をとなえたら、たくさんのカメの絵を描いて、それが大人では想像できないようないろいろな色や形のカメだったんです。そこから、唱えことばの部分は子どもが想像した世界として描きたい、その絵を見ながら子どもが楽しく唱えてくれるといいなあと思いました。おふろで唱えることばなので、あったまる絵にしたいと思いながら描きました。 


そして、会のさいごに、児童文学研究者である宮川健郎さんは、宮川ひろさんのご家族として、こんなメッセージをのこしてくださいました。

◎母は「へてか へねかめ」を自分の励ましにして旅立っていったと思います。子どもたちは楽しいことがいっぱいだけれど、つらいこともいっぱいあると思います。
そのときに子どもたちが「へてか へねかめ」で元気になってくれたら、母もありがたいと思うに違いないと思っています。

宮川ひろさんは絵本のあとがきに「子どものときに毎日となえて、もらいこんできたことばは、あしたをいい日にする力をわきたたせてくれるのではないでしょうか」と書いています。
本作をはじめ宮川ひろさんが残した多くの物語は、これからも子どもたちの背中をそっと押してくれることでしょう。

(宮川ひろ・作  ましませつこ・絵)

『「へてか へねかめ」おふろでね』連載①
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1792

『「へてか へねかめ」おふろでね』連載②
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1793

「へてか へねかめ」おふろでね

童心社のおはなしえほん

「へてか へねかめ」おふろでね

宮川ひろ 作/ましませつこ

1日の終わり、そうたは家族にその日のできごとを話しながら夕ご飯を食べ、大好きなじいちゃんとおふろに入ります。最後は、じいちゃんも、じいちゃんのお母さんも、みんなこどもの頃おふろで唱えた言葉「へてか へねかめ」。
「へてか へねかめ かめかめ かめか/かめの おのたま おちょりこ ちょりこ/すっぽんかいの てきてきとんぼ こうとんぼ/はりまの べっとう ちょうざえもん」3回唱えたら、体がぽっかぽか!

  • 3歳~
  • 2019年10月20日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み