2019.10.28

<新刊>いつかはきっと、だいじょうぶ。『きらい きらい!』

食欲の秋です。
皆さんの好きな食べものは何ですか?
きらいなものはありますか?

子どもにとって、食べものの好ききらいは大問題です。
園や学校の給食で、お家の食卓で、もしもきらいなものが出てきたら……?

そんな子どもたちの大きな悩みによりそう、武田美穂さんの新作絵本『きらい きらい』を、今日はご紹介します。


きらいなもの なーに?

はい! にんじん!

きらいきらい にんじんきらい
からだにいいって ママはいうけど
においがいやなんだ


魚がにらんでいる気がする子、お肉の脂身が苦手な子。
におい、食感、味、形など、きらいなものの理由は子どもによってそれぞれです。
そのひとつひとつが何だかかわいくて、ユーモラス。
子どもはとっても深刻なのですが。

でもみんな、立派です。
こういって前を向いていますよ。

きっときっと だいじょうぶ
おおきくなったら たべられる
だから
もうちょっと まっててね


ご自身も好ききらいの多い子どもだったという武田美穂さん。
本作のあとがきで、こう綴っています。

「(前略)幼い子どもほど、味覚が敏感だといいます。
(中略)それをむりやり食べさせようとしたり、食べない子はダメな子とか、わるい子みたいにあつかえば、子どもには食事そのものがストレスになってしまうかもしれません。
まわりのひとが、楽しそうにおいしそうに食事をしていれば、子どももしぜんに好ききらいが減っていくのでは? なんて、楽観的すぎるかな?
でもまあ、そうしてひとつやふたつ、どうしても食べられないものがのこったとしても、それくらい、きっとだいじょうぶ。それだって、元気に健康に生きていけると思います!」

「きっとだいじょうぶ」という言葉には、武田さんから子どもたちへのあたたかな励ましの気持ちが込められているのですね。
そしてそのエールは、子どものまわりにいる大人にも向けられています。

好ききらいは食べものに限ったことではありません。きらいなこと、苦手なことはいつでも子どもの近くにあります。
それらをおおらかな気持ちで受けとめ、一緒に進んでいくことの大切さをそっと教えてくれる1冊です。

(武田美穂 作・絵)

きらい きらい!

童心社のおはなしえほん

きらい きらい!

武田美穂 作・絵

きらいなもの、なーに? きらいきらい、ニンジンきらい。あのにおいがイヤ。きらいきらい、おさかなきらい。こっちをにらんでる目がこわい……でも、きっとだいじょうぶ! 大きくなったら、たべられる。だから、もうちょっとまっててね──
子どもにとって嫌いな食べ物や苦手なことは大きな悩みのタネです。そんな子どもの気持ちを解放する作品。
ユーモラスにリズミカルな言葉で描き出した、子どもの成長を願う絵本です。

  • 4・5歳~
  • 2019年10月15日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み