2019.08.21

〈連載〉読書感想文におすすめ ④『ハニーのためにできること』

読書感想文におすすめの作品を連載でご紹介していきます。
今日ご紹介するのは『ハニーのためにできること』です。
128ページで、小学3・4年生から読める作品です。大人の方にもぜひおすすめしたい1冊です。

いつも元気だったのに、ある日突然亡くなってしまったおばあちゃん。
お葬式の後、おばあちゃんが飼っていた、同じくおばあちゃん犬の“ハニー”について、
「誰も世話をする人がいないなら、残念だけど、保健所に連れて行くしかない……」
そんな親たちの会話を聞いてしまった、小学生の主人公ふたばは、ハニーの世話をすることを決意します。

家族で話し合い、みんなでハニーの世話をすることなりました。
少しずつ家族の一員になっていくハニー。
でも、ある日、ふたばは、ハニーの首のつけねが腫れているのを見つけます。動物病院につれていくと、悪性リンパ腫であることがわかって……。

一緒に最後の時間をすごすことができなかった祖母との代わりのように、ふたばたちと生活を共にすることになったハニー。ふたばは、ハニーと一緒に病と戦い、ハニーとの残された時間をすごしていきます。
前はだっこするとずしりと重く、抱かれるのに緊張して体を固くしていたハニー。やがて少しずつご飯が食べられなくなり、ふたばに体をゆだね、軽くなってしまったハニーを、ふたばはやさしくだきしめます……。

生きているもの全て、誰もが等しく年をとり、多くの場合身体に不調を抱え、そして最期を迎えます。
その時を誰とどんな風にむかえるのか。家族は、どんな風に支え、送り出すことができるのか……。

命とむきあい、家族のあり方をみつめた、感動の物語です。

現在はお母様を介護されながら執筆活動を続けてる著者・楠章子さん。
今年5月には認知症になった祖母を孫の「ぼく」の視点から描いた絵本『ばあばは、だいじょうぶ』が実写映画化されました。
老犬ハニーとの時間を描いた本作にも、著者楠さんの命への思いが込められています。

(楠章子 作/松成真理子 絵)




ハニーのためにできること

単行本図書

ハニーのためにできること

楠章子 作/松成真理子

ふたばのおばあちゃんが亡くなって、ハニーという老犬を引き取ることになりました。そうしなければ保健所などにつれていかねばならないので、ふたばがお母さんを説得したのです。しかし、やがてハニーは重い病気になってしまいました。獣医の先生に相談し、ふたばは両親とともにいっしょけんめい看護しますが、別れの時が近づいてきます。ふたばは、ハニーのために何ができるか必死に考えました……「命」を見つめる感動作。

  • 小学3・4年~
  • 2018年12月20日初版
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 立ち読み