2019.06.17

〈連載〉夏のおすすめ紙芝居 『ばけものでら』

夏といえば、きもだめし。
連載最終回の今日は、夏におすすめのおばけの出てくる民話紙芝居をご紹介します。

昔、村はずれの荒れた古寺に、旅の坊さまが通りがかった。
宿をさがしていた坊さまは、村人たちから、寺にはおそろしい化け物が出ると聞きますが、
気にせず、一人で泊まるという。
その晩、真夜中にふと目が覚めた坊さまに、
なにやら不思議な声が聞こえてきた。

 ばさっ ばさっ ばんばらりん
 からころ からころ からころりん
 どろろん どろろん どんどろろん
 じゃんがら じゃんがら じゃんがらりん
 おしょろ おしょろ おしょろしょろ
 しょうたい わかるか
 わからにゃ くうぞぉ…… 

日本各地に伝わる民話「化物寺」を紙芝居にしたこの作品。
粗末にされ、妖怪となった「物」たちの正体を坊さまがみやぶっていきます。

この紙芝居では、脚本に「ばさっ ばさっ ばんばらりん」「からころ からころ からころりん」といった擬音が効果的に配され、妖怪の正体をつげるヒントであると同時に、脚本に独特のリズムと雰囲気を与えています。

脚本は、多くの民話紙芝居を手がけている水谷章三さん。
「なにものっ!」「さてはばけものじゃな」といった、坊さまと化けものたちとの緊張感ある台詞が、活劇のようにスピード感ある展開を生み出しています。

12場面、4・5歳から。
夏の夕方など、ぜひ雰囲気たっぷりに子どもたちとお楽しみください。

(水谷章三 脚本/宮本忠夫 絵)

ばけものでら

おばけがいっぱい

ばけものでら

水谷章三 脚本/宮本忠夫

旅のぼうさまが村人のこわがる荒れ寺にとまると、夜中に化物たちがあらわれました。ぼうさまは徳の高い人だったので…。

  • 4・5歳~
  • 1982年10月1日初版
  • 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
  • 立ち読み