「わたしたちのアジア・太平洋戦争」を
すいせんします。





日本やアジアの人びとの歴史の証言に耳を傾けたいと思います。

 これまで、わたしは子どもたちが本を読むたのしさを知ってほしいと願って、子どもの読書環境を充実させる活動にかかわってきました。 その活動をささえる根っこには、 人間として深く、豊かな考える力をもち平和な社会を築く人になってほしいという願いがあったからです。
 日本はイラクへの派兵を決行しました。わたしたちは、“戦争とはなんであったのか”をもう一度思い起こすことが必要な「いま」に立たされています。
 この 『わたしたちのアジア・太平洋戦争』[全3巻]は、これからの“平和への道”を見失なわぬための貴重な体験集です。ここで語られる日本やアジアの人びとの歴史の証言に耳を傾けたいと思います。
 この本から、 戦争は決して一瞬に起こるのではなく、 人々の気持ちや考えを “戦争への道” に向かわせる文化、 教育が周到に仕組まれていった過程がよくわかります。 いままた、 わたしたちの周りに同じような 「こわい」 状況がつくられつつあるのではないか、そのことを見極め、再び誤った選択をしないために、この本が発する問いかけを子どもとともに話し合っていくことも、平和を守る活動のひとつだと私は考えています。
 

広瀬恒子(ひろせ つねこ)
親子読書・地域文庫全国連絡会代表/日本子どもの本研究会事務局長



人類の平和のためにどうすればよいのか、みんなで考え合える本です。

 1945年7月20日、 19歳の学生だったわたしは、日本陸軍の兵隊になりました。
 その夜、 空襲で焼け野原になった山梨県甲府市の伊勢国民学校の体育館で横になりました。ところが、 朝起きてみると、 枕元においた軍靴がないのです。
「なに? くつを盗まれた? このバカもん! 他の隊に行って盗んでこいっ!」
と上官にどなられ、なぐられました。
 十日後、 千葉県の九十九里浜、旭町に移り、そこで戦争が終わるまでアメリカ軍の上陸
を迎えうつ訓練を続けたのですが、 いつも空腹、 おまけにちょっとしたことですぐなぐられる生活でした。
 小学生から、 日本は「天皇の治め給わり世界に冠たる神の国」と、 徹底的に教えられたのですが、 いつの間にか、 この国に生まれ育つことの誇りと喜びは消えていったのでした。
 この3冊の本では、1920年代から日本がどんな国であったか、 たくさんの方の証言やお話で、 小学生にもわかるようにまとめられています。 これからの日本が、人類の平和のためにどうすればよいのか、みんなで考え合える本です。
 

小松崎 進(こまつざき すすむ)
この本だいすきの会代表


TOP刊行の言葉戦争を新しく体験する意味本書の特徴1本書の特徴2この本を推薦します書評

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