書評
- 小さな人に愛される新定番 母のひろば731号 2025年4月15日発行
- 「まる」という形は角がなく柔らかい印象から、人間が本能的に安心感を持つ形といわれている。また赤ちゃんが最初に興味を示す形だそう。そんな「まる」をモチーフにした絵本『まる!』が出版された。次々に丸くなる動物や魚、虫、そして最後は……!? ただ丸いものを集めたという絵本ではなく、得田之久さんの言葉はめくる楽しみ、読み進める喜びをもつ。そしてその言葉を、北村人さんがクレヨンで生み出す、素朴であたたかく柔らかなラインが包み込む。
『まる!』と同時刊行された『だーれ?』は、「○○してるのは だーれ?」と読者へ呼びかける文章で、絵本を積極的に楽しませてくれる。ぜひ、まだ答えられないであろう時から一緒に楽しんでほしい。絵本は子どもたちの成長を見せてくれる。子どもたちの頭の中で、絵本の内容が繋がる瞬間に立ち会えるなんて奇跡のようだと私は思う。そして何度も何度も繰り返し、わかる嬉しさ、知っている喜びを絵本は経験させてくれる。
親子で丸くなって楽しむ姿や、「もういっかい!」と子どもが求める様子が目に浮かぶ。得田さんのリズミカルな言葉と、ページをめくるたびに思わず笑顔にさせてくれる北村さんの絵で、たくさんの小さな人に愛される新定番の絵本になりそうだ。 - ふわはね/絵本講師、JPIC読書アドバイザー、子育てアドバイザー
もっと見る