いきもの歳時記 (全4巻)
内容説明
写真とイラストでわかりやすく、親しみやすい、学校で、授業で役立つ小学生からの歳時記。図鑑や百科事典とは違った広がりや奥行きがあり、1冊の読み物としても楽しめます。
推薦のことば
- 五感にふれる豊かな言葉を子どもたちに! 2011年4月27日
- 開花をまちわびていた桜の花が、私の住む埼玉の地で満開となりました。そして同じ日、東日本大震災で津波の被害を受けた桜が、被災に負けず開花したとのニュースを見ました。
日本人は、古来より桜見物を「花見」と称して楽しんできました。寒い冬が去り、暖かい春の到来を実感させる「桜」は、あでやかに咲き誇る美しさはもとより、散りゆくさままで多くの言葉で表現されています。
俳人の松尾芭蕉は、「さまざまの事思ひ出す桜かな」と詠いました。芭蕉は桜を見て何を思い出したのでしょうか。この句は、読み手である私たちをも自分と桜の思い出にいざないます。日本独自の短詩型文芸である俳句は、十七文字の限られた文字数で無限の広がりを表現しています。季語を入れることをきまりとしているからできる表現世界といえるのでしょう。
『いきもの歳時記』には、「桜」・「花筏」などの季語や季語の説明、また例句も掲載されています。前述した松尾芭蕉の句も「春」の巻に載っています。世界に誇る美しい日本の四季、その中で生まれた季語の数々は日本の文化の象徴といえます。この四月から始まった新しい教育の中で、言語力の育成が強く求められています。言葉は心を表すもの、五感にふれる豊かな言葉を子どもたちに身に付けてほしいと切に願っています。 - 対崎 奈美子(ついざき なみこ/東京学芸大学講師)