だいすき絵童話

あらいぐまのせんたくもの

あらいぐまのせんたくもの

立ち読み

大久保 雨咲 作/相野谷 由起

家の洗濯機がこわれてしまい、おばあさんはコインランドリーにやってきました。するとそこには1匹のあらいぐまがいました。「ぼくのハンカチもいっしょにあらってほしいの」。あらいぐまのハンカチには「かなシミ」というシミがついていました。洗濯を待つあいだ、おばあさんはたずねました。「どんなかなしいことがあったのか、おしえてくれる?」。あらいぐまは「かなシミ」の理由をおばあさんに話してみることにしました。

  • 第53回 夏休みの本 緑陰図書選定
  • 定価1,210円 (本体1,100円+税10%)
  • 初版:2019年11月1日
  • 判型:A5変型判/サイズ:20.1×15.1cm
  • 頁数:79頁
  • 小学1・2年~
  • ISBN:978-4-494-02064-5
  • NDC:913

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読者の声

かなシミとゆうシミはおもしろいシミだなと思った!
本の13ページのあらいぐまがハンカチをもっている絵がかわいかったです。かなシミとゆうシミはおもしろいシミだなと思った!(9歳・女性)
お友だちとケンカをしてしまったら、とうしたらいい?
初めてコインランドリーに来たおばあさんが出会ったのはあらいぐま。友だちのきつねとケンカをしてしまったようで、涙でハンカチに「かなシミ」ができて消えないみたい。
お洗濯をしてもらう間、おばあさんに話を聞いてもらいます。

小学校低学年向けのお話です。
お友だちとケンカをしてしまったら、とうしたらいい?
会えなくてさみしい気持ちでいっぱいのあらいぐまにおばあさんは何かアドバイスをくれるのでしょうか?(書店関係者さん・女性)
とても優しいお話です。
自分にしか見えない「かなシミ」というシミ。にんげんの機械ならきれいになるかもと思ったアライグマが健気です。
優しいおばあさんのおかげで
心がほぐれていき、元気を取り戻す様がこころに染みます。
とても優しいお話です。
(書店関係者さん・女性)

推薦のことば

一枚のハンカチ「こどもの本」2020年1月号(日本児童図書出版協会)
 毎日、楽しいことばかりだといいのになぁ。どうして、こんな嫌な思いをしなくちゃならないんだろう。こどものころ、よくそんなふうに思っていました。でも、日々、暮らしていると、楽しいことばかりじゃない。どうしたって、悲しいこととか、辛いことも起こってしまいます。
『あらいぐまのせんたくもの』は、コインランドリーをはじめて使うおばあさんと、悲しい気持ちをかかえたあらいぐまが、洗濯をするお話です。泣き虫のあらいぐまは、悲しいときにハンカチで涙をふいていたら、「かなシミ」というシミが消えなくなってしまった、と言います。そして、洗濯機であらえば、「かなシミ」も「悲しみ」も消えると思っているようですが……。

 もし私たちの気持ちが一枚のハンカチだったとしたら、一生を終えるときに、どんな模様になっているのでしょう。このお話を書きながら、そんなことを考えていました。あんなに辛かったのに、いつのまにか消えてしまったシミや、どれだけ時間がたっても消えない深い「かなシミ」もあるかもしれません。シミどころじゃなくて、やぶれてしまっていたらどうしよう。

 あらいぐまは、おばあさんに話をきいてもらいながら、いろいろと想像してみます。悲しみのこと、けんかをしてしまった友達のこと、それから、これから起こるかもしれないちょっとだけ先の未来のことを。 悲しみを癒やす方法なんて分からないし、ましてや時間がたてば解決するなんて簡単には言えません。でも、私たちのハンカチが、いろんな感情の色を吸って、最後に味わい深い一枚のハンカチになっていればいいな。そんな願いをこめて、このお話を書きました。
 もう悲しくってしょんぼりなあらいぐまを、相野谷由起さんがとても愛らしく描いてくださっています。さて、あらいぐまとおばあさんは、ちゃんと洗濯ができるのでしょうか。見とどけていただけたらうれしいです。
大久保雨咲(おおくぼ うさぎ/『あらいぐまのせんたくもの』作者)

書評

心になかなか消えないシミはありませんか? 母のひろば667号 (2019年12月15日発行)
「ぼくの ハンカチも、いっしょに あらってほしいの」 はじめてやってきたコインランドリーで、おばあさんは1ぴきの子どものあらいぐまと出会い、こんなお願いをされます。悲しいことがあるたびにハンカチで涙をふいていたら「かなシミ」というシミがとれなくなったというのです。おばあさんはハンカチを洗ってあげる間、あらいぐまの話にゆっくり耳を傾けます。
 あらいぐまの「かなシミ」のひとつは、仲良しのきつねとケンカをしてしまったことでした。ケンカの原因はちょっとしたすれ違いです。きっと、読む子どもたちも、似たような出来事を思い出してドキっとする場面ではないでしょうか。「それは もう……。きつねに あうしかないねえ」「いままで、まい日 あそんでいたなら、きつねも いまごろ、さみしいだろうね」なるほど、おばあさんがあらいぐまにかける言葉のひと言ひと言に、すっかり大人になった私でさえも、じっくりと聞き入ってしまいました。
 悲しかったことをひとつ話し終えるたびに聞こえてくる洗濯機の音が、なんとも気持ち良く響きます。あらいぐまのぐるぐるしていた気持ちも、ざばんと洗われ、ふわりと心地良く乾かされていくようです。
 お話の中で強く印象に残ったのは、「かなシミ」という言葉。そうか、かなしみの気持ちは、心にぽつっとできた「シミ」のようなものなのかもしれないな、とストンと納得したのです。もし、心に「シミ」ができて自分では消せなくなってしまったら……。そんな時にはあらいぐまのように、勇気を出してだれかに打ち明けてみたら、パッと気持ちが晴れるかもしれません。だれかのひと言が、固まっていた考えを魔法のように変えてくれることが、きっとあるのです。
 お話を通して、あらいぐまの表情や仕草がとっても愛らしいのも大きな魅力です。個人的なお気に入りは、「おばあさん、あのね……」と言う時に必ずおばあさんにちょこっと手を伸ばす場面! そんな愛らしいあらいぐまの様子を中心にすべてのページに絵がついているので、絵本から読み物への移行期にも無理なく読めるでしょう。小学1、2年生の子どもたちにおすすめのお話です。
 小さなモノたちや動物たちの気持ちを温かく、時にユーモラスにすくい上げる筆致が魅力的な大久保雨咲さんによる、おばあさんとあらいぐまの心の交流が丁寧に描かれた優しい絵童話。前向きで人生経験豊かなおばあさんがまた素敵なのですが、一見あらいぐまだけがお世話になったようで、実はおばあさんもあらいぐまに、はじめてのコインランドリーに挑戦するパワーや、元気をもらったのではないかなあと、そんな出会いの嬉しさも感じました。
秋山 朋恵/絵本ナビ 児童書担当

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