童心社のおはなしえほん

ごろべえ もののけのくにへいく

ごろべえ もののけのくにへいく

立ち読み

おおとも やすお 作/絵

昔、ごろべえという強いさむらいがいて、一度も「こわい」と思ったことがなかった。「こわいとはどんなきもちなのだろう」どうしても知りたいごろべえは、もののけ達のすむくにへ旅立った。もののけの大将おおにゅうどうは、ごろべえの話を聞くと、つぎつぎに恐ろしげな化け物に化けた。ところがごろべえ、ちっともこわくない。
失意のうちに帰ってきたごろべえに、寺の小僧は「わたしがこわがらせてさしあげます」と言った。

  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 初版:2018年12月20日
  • 判型:B5変型判/サイズ:20.7×22.2cm
  • 頁数:32頁
  • 4・5歳~
  • ISBN:978-4-494-01629-7
  • NDC:913

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書評

母のひろば656号  2019年1月15日
こわがることを習いにでかける  小澤俊夫

 これは、一度も「こわい」と思ったことがないごろべえの物語です。ごろべえは「こわい」ということを知りたくて、旅にでます。そして、もののけの国で大入道に出会いますが、ごろべえの方が強くて、こわい体験にはなりません。
 グリム童話集には、「こわがることを習いにでかけた若者の話」という話があります。『ごろべえもののけのくにへいく』は、このグリム童話をもとにした創作民話です。考えてみれば、人は誰しも若い時にはこわがることを習いにでかけているではありませんか。学校に入学する時、嬉しい気持ちの半面に「ついていけるかな?」とかいう心配があるでしょう。入社試験に合格しても「仕事がうまくできるかな?」という心配があるでしょう。それでもやってみるのです。「こわがることを習いにでかける」ということは、若者たちがいろいろな場面でやっていることといえます。この絵本は人生のそんな機微を、愉快な場面として見せてくれています。
 ところで、ごろべえに「こわい」ということを教えてくれたのは、お寺の小坊主でした。大入道とまで会ったのに、小坊主が解決するという大転換がおもしろいですし、ごろべえが頭から冷や水をかぶったような気持ちにさせられたときの肩すかしっぷりも、とんちがきいていて実に痛快です。
(おざわ としお/筑波大学名誉教授)