セイヨウオオマルハナバチを追え ー外来生物とはなにか
(もくじより)マルハナバチってどんなハチ?/マルハナバチと花の共生関係/侵略的外来種としてのセイヨウオオマルハナバチ/外来種はなぜ問題をおこすのか/地域でとりくむ外来生物対策 etc
ハウス栽培のトマト、ナスなどの花粉交配用に1991年導入され、逃げ出して野生化し日本の在来種を脅かすとして特定外来生物に指定されたセイヨウオオマルハナバチ。1996年から始まった北海道での監視・駆除活動を紹介。入れない、捨てない、拡げない――外来生物についての基本的な考え方から、特定外来生物を見つけたときの対処の仕方、日本から海外へ侵略する在来種の問題など、生物多様性を考えるための必読書です。
内容説明
野生化し日本の在来種を脅かす、特定外来生物セイヨウオオマルハナバチの北海道での監視活動を紹介。入れない、捨てない、拡げない――生き物とうまく共生していくために、外来生物について考えるための必読書。
推薦のことば
- 小さな命を守るために
- 私たちの地域(岩手県一関市萩荘)は、ため池、田のあぜ、雑木林などに多くの動植物が存在しています。そのため、「にほんの里100選」「ため池百選」に選定され、日本ユネスコの第一回「プロジェクト未来遺産」に登録されるなど、生態系の豊かさが誇りとなっています。
ところが、この地域にも侵略的外来種のセイタカアワダチソウが侵入し、カタクリ、カキラン、ウツボグサ、エゾタンポポなどの在来種が危機におちいっています。そのため十年ほど前から、私たちはセイタカアワダチソウの抜き取りをしてきました。また、近年、ウシガエルが爆発的に増えはじめ、ため池の生物が絶滅に追いやられています。そこで私たちは鷲谷いづみ教授の指導のもと、四年前から生態系の調査をし、一昨年からウシガエル、オオクチバス、アメリカザリガニの防除をしています。
このような在来種保全の運動では、『セイヨウオオマルハナバチを追え』に紹介されているように、侵略的外来種の監視とモニタリングが重要です。市民、科学者、行政が一体となって活動しないと、侵略的外来種の旺盛な繁殖力には勝てないのです。長い年月をかけて築きあげてきた花とポリネーター(花粉の運び手)の関係をこの本で学び、かけがえのない日本の小さな生きものたちを守ることの重要さを知っていただきたいと思います。 - 千坂げんぽう(ちさか げんぽう/知勝院住職)
書評
- 子どもの本棚 2011年8月号
- こどもとしょかん 第130号 2011年夏号 本の会から
- 床井文子
- 子どものしあわせ 8月号 しあわせ図書館
- 代田みち子(日本親子読書センター)
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