わたしのひみつ
内容説明
わたしね、てつぼうは にがてなの。でも、へいのうえなら ねこみたいに あるける。いつか、そらを とべるかな…? シンプルな言葉と色彩豊かな絵で、小さな女の子の気持ちをまっすぐにうたった詩の絵本。
関連情報
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2019/9/10
<東京>きくちちきさんの絵本原画展が開催されます。
「きくちちき絵本展 しろとくろ」が開催されます。『わたしのひみつ』(石津ちひろ・作)の原画も展示されます。関連イベントも多く予定されていますので、どうぞ足をお運びください。日時:2019年9月21日( ...
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推薦のことば
- 『わたしのひみつ』は あなたの秘密 2015年4月1日
- 絵本の余白が好きだ。
『わたしのひみつ』で石津ちひろが紡ぐ言葉は、穏やかに広がる余白に満ちて、きくちちきの絵はしん、と澄んだ余白を展(ひろ)げていた。ふたりの余白が私を物語の世界に誘った。気づけば私は〝わたし〟と一緒に物語の中にいた。〝わたし〟それは幼い頃の私。鉄棒も給食も算数も苦手だった。ひとりは平気。でも独りにさせられるのは嫌だった。暗闇を何より怖がった私。あの頃の私は泣いてばかりいた気がする。いつも何かにつまずいて、周りと同じになんでもできる子じゃなくて。そんな自分が悲しくて泣いた。子どものプライドの方が大人よりはるかに純粋で高潔なのだ。体が震えるくらい泣いた。泣いて泣いて泣き疲れると空を見上げた。太陽はいつも、燦々(さん さん)と私を照らし暖めてくれた。太陽が乾かした涙の跡はかゆくて、ごしごしと私は頬をこすった。幼く不確かだったあの頃。
私は大人になった今でも忙しさの中、全部が全部上手くいかなくて自分を見失う。戸惑い、泣いて世界にひとりだけの自分を探す。
でも、見つけた。〝わたし〟は私。私は〝わたし〟と言ってあげられる。「大丈夫」と。
そして私は〝わたし〟を抱きしめたい。『わたしのひみつ』は私の、そしてこの本を手にする〝あなた〟の秘密。 - 高村 志保(たかむら しほ/今井書店店長)