2023.08.30

<連載⑦>水辺のここちよい空気が伝わる『14ひきのせんたく』

40周年をむかえた「14ひきのシリーズ」
1作ずつご紹介している連載企画、第7回です。

今回は、1990年に刊行された『14ひきのせんたく』をご紹介します。


夏の太陽が、14ひきのくらす雑木林にさしこんできました。
「みんな まとめて せんたく しましょ」とお母さん。


山のようなせんたくものをかかえて、川へ出かけます。


つめたい水、気持ちいいね。
ジャブジャブせんたくしたら、服のままおよいじゃおう。


作者のいわむらかずおさんは、この絵本のポイントを「水」と話してくださいました。
川を流れる「動く水」を描くため、光と影や、川底がどうなっているか、まわりの林はどうか……などじっくりと観察したそうです。

せんたくする14ひきのまわりにあらわれる波紋や、勢いよく落ちていく滝など、さまざまな表情を見せる川。
こちらまで心地よいひんやりした空気がつたわってくるようです。

毎日かかせない家事のひとつであるせんたく。
それを大きな楽しみにしてしまうのは、14ひきだからこそ、です。

次回もどうぞお楽しみに!

(いわむらかずお・さく)
14ひきのせんたく

14ひきのシリーズ

14ひきのせんたく

いわむらかずお さく

ふりつづいていた雨がようやくやんで、森中に夏の太陽の光がさしこみました。

「シャツも パンツも シーツも パジャマも、みんな まとめて せんたくしましょ、と おかあさん。」

子どもたちみんなで、お母さんと川へせんたくにでかけます。

「みず つめたーい! きもち いいね。」

川についたら、子どもたちもみんなで、せんたくのお手伝い。

「ジャブ ジャブ せんたく、よっちゃん。 
 ペッタン ペッタン せんたく、ごうくん。
 グッシュ グッシュ せんたく、さっちゃん。」

子どもたちはそれぞれ、個性豊かに、自分ができることを手伝います。洗濯板を川に浮かべて遊んでいたら、大変、洗濯板が流れていって……。

森の谷川を舞台に、明るい夏の光いっぱいに描いた、人気ロングセラーシリーズの第7作。
画面いっぱいに大きく描かれた川は、水面の波紋や川の流れまで、描き分けられています。
絵本を開いて、子どもたちと本を読んでいるだけで、川をわたる涼しい風、川のせせらぎが広がって行くようです。自然ゆたかな夏の谷川を描いた、暑い夏におすすめしたい1冊です。

  • 3歳~
  • 1990年5月25日初版
  • 定価1,430円 (本体1,300円+税10%)
  • 立ち読み